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「もう買えないモノ」を買う。
私が愛してやまないものの1つに「昭和レトロ」がある。
昭和の家具や、食器、洋服、80年代のサンリオグッズなど、見ているだけで心がときめき、エネルギーが湧いてくる。
昭和レトロと北欧テイストの融合などにも興味があり、アンティークショップに入り浸って、優しい店主と1時間くらい話し込んでしまったこともある。
ただ、私のこの「昭和レトロ愛」には、「好み」という概念以上のものがあるかもしれない。
昭和58年に生まれ、平成元年で小学校に入学するまでの6年間の、自分の人生の基盤となった時代。
「あの頃は良い時代だった」かどうかは正直よくわからないけれど、
「昔自分の周りにあったモノにもう一度囲まれたい」と願うことが、幼少期の自分を救いたがっているような、あの時間を取り戻したがっているような、そんな感覚に通じると思うときがある。
そんな人間が、育児をすると、どうなるか?
そう、「我が子にも、自分が使っていたような昭和グッズを使ってほしい」と思うようになる。
最初に我が子へ贈った昭和レトロは、こども園で使うためのリュックだった。
本人が、あれがいい、これがいい、と言い出す前の2、3歳頃。
我が子にコレ、と思えるリュックをお店では見つけられず、どうしようかな、と思ったときに、兄や私が小学生の頃に使っていたスヌーピーやキキララのリュックを急に思い出した。
だけど当然、当時と同じようなデザインの商品はお店には並んでいないので、メルカリで探してみることにした。
探してみると、けっこうあった。
私が候補として見つける商品には、たいていこのような表記があった。
買った状態のまま、押し入れで眠っていました。
経年による色あせなどがあります。
未使用品ですが、長期自宅保管にご理解いただける方のみご購入ください。
気づけば四六時中メルカリ内で検索し、
気になる商品に「いいね」がたくさんついたり、どなたかがサイズ確認や値下げ交渉のコメントを投稿していたりすると、「なにぃっ!」と購買意欲を搔き立てられ、自らに購入の決断を迫った。
ライバルを蹴落としてでも手に入れたい、と思ったのは、中学生のときに片思いしていた彼への慕情以来だった。
我ながら単純と思うけど、これはメルカリあるあるだと思いたい。
そんなふうにして、私は3人の子どもに、約3年おきに、昭和レトロなリュックを購入した。
満を持して、ぜひ披露させていただきたい。
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届いた商品には、注意書きにあったような経年劣化等は、ほぼ見つけられず、ましてや使用には全く問題がなかった。
これらの購入した商品のもう一つの魅力は、MADE IN JAPANであることだった。
昭和時代にはまだ多かったMADE IN JAPANの品物は、質も良く、縫製等も丈夫である。心から誇らしい、日本人の丁寧で緻密な仕事。日本製ばんざい。
「今こそ、みんなでMADE IN JAPANに戻りませんか!」と心の中で叫びつつ、DAISOやUNIQLOに頻繁にお世話になる矛盾屋はこの私だ。
話が少し逸れてしまったが、
小学4年生になった長男も、まだこのスヌーピーのリュックを愛用している。
もうそろそろ「アディダスとかプーマが欲しいよう」と言い出すのではないかと覚悟しているのだが、「気に入ってるから」と、チャックが壊れても、修理屋さんで直して使い続けている。
もしかしたら、私の昭和レトロへの執心を感じ取って気を遣わせてるのでは…と思わなくもないのだが、本当に良い品だから、愛着も湧くのだろう(と思いたい)。
他にも、忘れられないのに今はもうどこにも売っていない絵本も、何冊かメルカリで購入した。それを我が子と読むときの幸福感ったらない。
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今の市場には出回っていない過去の産物をメルカリで探す行為は、どこか、自分の幼少期の幸せな記憶を拾い集めて、前を向いて生きていくための手段のような気もしている。
まだしばらくは、メルカリで、ノスタルジーな買い物をする日々が続きそうだ。
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