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【世界デュアスロン選手権男子レースレポート】

WTCSドバイ🇦🇪と並行して、スペインのアビレスでは世界デュアスロン選手権が開催されました。2016年に僕自身も出場したことのある場所で隣町のヒホンも2011年に世界選手権が開催されるなど、デュアスロンでは馴染みの深い場所です。2019年の世界デュアスロン選手権は開催されず、2年ぶりの開催となりました。

1stRun10km-Bike40km-2ndRun5kmという日本国内のカーフマンシリーズとは違った実施距離で、1stRun10kmは勢いだけでは走りきれません。

有力選手は2019年世界選手権準優勝のマーティン🇪🇸(2度の世界王者)、3位バンデカステリ🇫🇷、2021年欧州王者ルベレ🇫🇷、準優勝デリー🇧🇪(10000mPB28:26)、2021年欧州U23王者コースアウツ🇧🇪、2021年オランダU23王者クリマース🇳🇱、そして1週間前のWTCトンヨンの覇者アデルモーラ🇲🇦(5000mPB13:53)といったメンバー。日本からは田中文也、藤部武文(日体大)、坂野裕樹(日大)、小泉諒太(東海大)の4名が出場しました。田中は派遣基準タイムである3000m8分43秒をクリアし、日本メンバー内最速タイムを持っています。

気温16.5℃、前日の雨でランコースには水溜りのあるコンディションで46名がスタート。

〜1stRun10km=2.5km×4〜

スタートして300mもすると2−3人しか通れない道幅のコースになるため、序盤は場所取り争いによりスピードが早くなります。集団の先頭を走るのはゲルブール🇫🇷、3分10秒ほどのペースで大きな集団を牽引しながら進んでいきます。1周目を通過時に田中と藤部が4秒差の集団後方、坂野と小泉は13秒差少し間を開けて走っていきます。2周目の先頭集団のペースは変わらず、田中は先頭集団を走ります。藤部が48秒差、坂野と小泉が55秒差で通過していきます。先頭集団は3:10ペースを綺麗に刻んでいきますが、ここで先頭集団から田中が脱落し差をつけられます。1stRun10kmのラスト500mで先頭集団に揺さぶりをかけるスパートがかかり、先頭集団は7名に絞られます。先頭集団を牽引し続けたゲルブールは2018年世界学生選手権のチャンピオンでもあります。同じフランスのムースブラガ🇫🇷は2021スプリントトライアスロンのフランスチャンピオンです。50秒差の17位で田中、2分40秒差の34位で坂野、3分7秒差の38位で藤部、3分24秒差の39位で小泉がバイクに移ります。

〜Bike39.6km=6.6km×6〜

序盤の重要な集団形成ではゴンザレス🇲🇽が遅れて6名の先頭集団になります。先頭集団を除くとまばらに1stRunを走り終えていた後続選手たちは6名が第2集団を形成し、前を追っていきます。1周目通過時は58秒差で第2集団6名、1分28秒差で田中を含む第3集団5名が走行していきます。

Lap2(9:11)
先頭6名
+1:54 6名
+2:01 5名(田中)
+2:20 9名
逃げ続けたい強調体制の取れている先頭集団に対し、第2集団は全くペースがあがらず1周だけで1分近い差をつけられるとともに、第3集団に背中をとらえれる展開に。それ以上に速かったのは第4集団で前の集団まで20秒差にまで詰めてきます。

Lap3(9:05)
先頭6名
+2:30 1名
+2:36 19名(田中)
第2〜4集団が合流し20名の集団になります。先頭集団では後続との差を開こうと懸命に走るフランス勢を横目に後方でベルギー勢が脚を休め始めたため、フランス勢がアタックを仕掛けベルギー勢にチェックさせて脚を使わせたり、ローテーションに協力しないデリー🇧🇪に声をかけるなど速いペースの中でも動きがありました。

Lap4(9:23)/Lap5(9:54) /Lap6(9:57)
先頭6名  /先頭6名    /先頭2名
                /+14s 4名
+2:36 6名   /+1:54 7名  /+1:28 7名
+2:45 14名 /+2:19 13名  /+2:45 12名(田中)
+3:21 5名   /+2:56 4名  

先頭集団の逃げ切りが濃厚となり、差を開くことに尽力したフランス勢がペースダウンしてベルギー勢や他の選手が前に出るように呼びかけますがなかなか前に出ることがなく最速ラップよりも20〜50秒も一気にペースダウンしていきます。この機会を第2集団が逃さずに追い続けます。最終周回には先頭集団からゲルブールがアタックしたチェックに入ったビエリンクス🇧🇪と共に逃げる形になります。バイク終了時には14秒差をつけて勝負の2ndRunに移ります。田中は2分45秒差の14位以降の選手がいる第4集団でバイクを終えます。

〜2ndRun5km=2.5km×2〜

最終周回に逃げた2人からゲルブールが飛び出し、ビエリンクスは早くも遅れます。後ろの集団からはムールブラガが追い上げ1.5km地点で前を走るビエリンクスを捕らえ、先頭との差も5秒縮めて2周目へと移ります。後ろからムースブラガが迫る中でゲルブールは自らのペースを刻み続け、その差が詰まることなく先頭でフィニッシュし、初のデュアスロン世界王者に輝きました。3位には後続集団から追い上げたデリーが入り、表彰台をゲットしました。

優勝 ゲルブール🇫🇷
2位  ムースブラガ🇫🇷+6s
3位  デリー🇧🇪+25s
4位  ビエリンクス🇧🇪+40s
5位  バンデカステリ🇧🇪+56s
6位  アデルモーラ🇲🇦+1:41

出走46名、完走44名(失格1名)

◯日本選手結果&エース的考察

24位田中文也選手(+4:40)/1stRun17位、2ndRun27位
エリート派遣標準記録である3000m8:43を最後のチャンスでクリアし挑んだ世界選手権、1stRun最終周回で惜しくも離されてしまったものの、前を追うバイク集団に入り良い展開だった。集団を自ら動かすことはできず。しかし唯一のエリート日本代表として出場した価値は今後の日本デュアスロン界にとって重要なことだと思う。
39位坂野裕樹選手(+10:18)/1stRun38位、2ndRun43位
クラウドファンディングで資金調達する行動を起こし、競技と自らの存在を発信し出場。世界の壁は高かったものの、その行動こそが何よりの価値だと思う。
41位藤部武文選手(+11:17)/1stRun34位、2ndRun39位
1stRun1周目を田中選手と並走するも、それ以降は大きく遅れてしまった。学生として海外レースを経験したことを今後の競技活動に生かしてほしいと思う。
43位小泉諒太選手(+12:47)/1stRun39位、2ndRun44位
SNSを活用しながら支援金を募る活動を行い、また発信も行っていった。競技成績はまだまだ実力不足だが、後輩たちへの見本となる活動や発信を今後も行なってほしい。

2022年の世界選手権は7月アメリカ・バーミングハムで開催されるワールドゲームスのレースとして実施される。

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