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IPO準備会社に求められる体制①決算早期化

本記事は、2021年10月7日にSuperstream様の『管理部の実務課題解決コラム』へ寄稿したものを、一部修正した上で再掲載しております。

IPO準備会社に求められる決算早期化、内部統制、開示体制確保について


(1) はじめに

株式会社アクリア、コンサルタントの角です。

IPO準備会社に求められる決算早期化、内部統制、開示体制確保について取り上げていきます。

IPOの実現により、上場会社となると株式市場での資金調達が可能となる等のメリットがある一方で、投資者保護や開示制度の拡充を目的とした金融商品取引法の順守が求められます。
そのため、上場準備作業を通じて、上場会社にふさわしい社内体制を整備し、開示体制を確立していくことが必要となります。
ここでは、IPOで求められる代表的な体制の整備事項のうち、決算早期化、内部統制、開示体制確保について大枠ではありますが、記載します。

まず、今回は決算早期化についてです。

(2) 決算早期化

┃概要

決算の早期化は、経営者によるタイムリーな経営判断を行うために有用です。また、上場審査上も決算体制の構築を求められます。

では、なぜ決算の早期化が必要で、具体的にどのような決算体制を構築していく必要があるのでしょうか。

┃決算早期化の必要性と求められる体制

・四半期報告書:四半期末から45日以内の提出
・有価証券報告書:期末から3ヵ月以内の提出

金融商品取引法において、一定規模の会社や上場会社は監査を受けなければならないと法律により定められています。
そのため、上記提出の前には監査を受ける必要があります。そのためには監査前に決算が締まっている必要があり、開示のために必要な基礎資料も作成されている必要があります。
また、監査対象では無いですが、決算短信は45日以内の提出が適当であり、さらには30日以内での提出が望ましいとされています。

また、決算早期化を行うことは、上記のように上場後のディスクロージャースケジュールで求められる以外にも、早いタイミングでの月次の業績報告による現状の認識や予実分析結果の報告を行うことが可能となり、タイムリーな経営判断を行い、経営目的を達成するためにとても有用となります。

ディスクロージャースケジュールを逆算すると、期末月翌月内に概ね監査が完了していることが望ましいと考えられます。
また、経営判断の観点からは、タイムリーに正確な状況把握を行い経営環境に適した企業行動をとる必要があります。
そのためには、決算早期化の目安としては、遅くとも会社は決算を8~12営業日には締めることが必要になります。

このように、IPO準備会社は、上場企業に求められる決算の精度とスピードを実現できる決算体制を構築することを、上場審査上求められます。
そして、そのような決算体制の構築を上場申請直前期(N-1期)の本決算において完了させる必要があり、そのためには上場申請直前々期(N-2期)中に構築及び決算短信のトライアル作成に挑戦していくことがポイントとなります。

(3) 決算早期化の方法

決算早期化を実現する具体的な方法は下記によります。

・単体決算、連結決算、開示作業、監査対応で、それぞれどの程度工数を要しているかを把握する。
・それぞれの細分化した項目について、目標工数を設定し、実際工数とのギャップを把握する。
・ボトルネックとなっている箇所及びその要因を特定し、解消する。また当該ボトルネックとなっている箇所は外部要因と内部要因に分けて解消する。

ボトルネック箇所及びその解消方法は会社によりそれぞれであり、また会社に合った方法により実施していくことが好ましいと考えられます。
下記はあくまで具体例としていくつか記載致します。

(4)まとめ

IPO準備会社は上場に向けて決算早期化を行っていく必要性があります。そして、決算早期化のためには会社それぞれに適合した要因、対応策を考えていく必要があります。

これらは、自社で行う他、専門家を利用することも有用です。専門家を利用するメリットとしては、多様な解決策を蓄積していることが挙げられます。

当社では、上記の区分を一括して又は分割して支援している実績があり、また、監査法人出身者も多数在籍しており、多角的な視点からサポートできる点も特徴です。


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