出所後の自立支援―イギリスの事例
今回は、イギリスの再犯防止活動をご紹介します。
イギリスでは、服役期間が12ヵ月未満の出所者のうち、56%が出所後1年以内に再犯で逮捕されるそうです。イギリスの刑務所は、服役者の数が多く、刑務所に収容しきれないそうで、受刑者を一日も早く更生させ、社会復帰してもらうことが課題のようです。
イギリス企業が支援する更生プログラムがいくつかありまして、その中の一つJames Timpson氏が自身の経営する靴修理店で何年にも渡って出所者を採用し続けていることなどが知られています。James Timpson氏はこの実績を評価され、"Minister of State for Prisons, Probation and Reducing Reoffending"(刑務所・保護観察・再犯防止担当国務大臣)に就任したそうです。
Tap Social Movementというビール醸造会社もそのような企業の一つで、2016年以降、これまで50人以上の出所者を出所したその日から採用し続けています。そのうち、再犯に至ったのは6%にとどまっているそうです。
この会社の共同経営者であるPaul Humpherson氏は、「自分の幸福を心から願う雇用者のもとで安定した仕事に就くこと」が再犯に至らないために必要だと語っているそうです(Guardian紙)。
雇用を継続することで、犯罪が減れば犠牲者も減り、起訴にかかる費用も減らすことができます。
もちろん同社にもメリットがあります。もう一人の共同経営者であるTess Taylor氏によると、顧客は最初、出所者を支援するためにビールを買ってくれるそうですが、一度飲むと今度はその美味しさからお得意様になってくれるのだそうです。
服役した人が二度と犯罪を犯さない仕組みづくりは、誰にとってもメリットがあるということですね。そもそも罪を犯す必要のない社会づくりがもっと進んでいくといいですね。