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江戸の人たちとの交流体験

東京ステーションギャラリーで開催されていた「どうぶつ百景」展。
最終日に行ってきました。

今回の展示物は、主には江戸東京博物館に所蔵されているコレクションですが、江戸~昭和初期に至る、「動物」にテーマをおいた展示となっていました。

展示物から香るものをキャッチしたのか、その当時の人たちの暮らし、人々の表情、子どもたちの顔、喧騒などが脳裏に浮かんで、時代感覚がなくなるような瞬間が何度となく訪れました。江戸や明治、大正や昭和初期に暮らしていた日本人の感性と現代に暮らすわたしの感性が触れ合ったんだろうと思います。

過去に生きた個人たちが残してくれた製作物や絵画、絵巻物、書物などにはその時代の香りが残っているのかな。感性を磨く素晴らしいひと時となりました。

さて、その展示内容を忘れないうちにメモしておきます。





①ペットとしての動物


江戸時代、町民の生活にゆとりが出始めると、鳥、魚、猫、うさぎなどがペットとして飼われ始めました。明治時代にはハツカネズミをペットとすることも。今で言うハムスターというところでしょうか。日本人らしいなと思ったのが、虫もペットとして飼われているというところでした。虫の音を楽しめる遺伝子は世界中のどの民族も持っている訳ではありませんね。江戸に暮らした人たちと何かが通よったような気持ちになりました。

②江戸~明治の野生動物


今でこそ高層ビルに覆われた都心部ですが、当時の江戸では自然が豊かだったそうで、ツルが飛来したり、浅草のお寺にはコウノトリが営巣したという記録も残っています。1855(安政2)年には、品川で潮干狩りをする様子も
美しい浮世絵に描かれていました。

③干支のエトセトラ


十二支と美人画をコラボした作品も美しかったです。(戌年は安産・子だくさんのコンセプトと共に)
ところで、十二支には龍(辰)が入っていますが、辰だけ架空の生き物なのになぜと思っていました。しかし、中国ではその存在が実在と強く信じられていたからだとか。実存のものとして龍を位置づけていたのですね。
国によっても十二支の動物は変わります。タイやベトナムでは、ウサギ(卯)はネコに、各国ではブタですが、日本ではイノシシ(亥)と、お国によってなじみのある動物が変わるようです。

④デザインとしての動物


動物は人々の生活に深く入っており、着物や櫛、印籠、煙草入れなどのデザインにも入ってきました。トリ、蝶、龍、虎など、さまざまな動物が当時の職人さんたちの手で見事にデザインの中に取り入れられていて圧巻でした。

⑤動物と江戸~明治の歩み


1861. 横浜にトラ、ゾウ、ラクダなどが到着。トラは全国にお披露目された。
1871. スリエ曲芸団等のサーカス団が登場。
1882(M15). 国内初の動物園が上野に。
1889(M22). 不忍池で競馬が楽しまれた。(西欧の影響による。貴族の社交場として。)
1894. 大黒天の使いとされた鼠をモチーフに油を入れる燭台が製作された。

⑥動物とおもちゃ(大正~昭和初期)


このおもちゃたちが本当に可愛くて。招き猫さんはもちろん、犬やうさぎ、キツネやトラ、狸、ひよこ、カエル、猿等、さまざまな動物たちがお人形さんになっていてとっても愛らしくてかわいくて、大正の人たちの感性とシンクロする自分を発見しました。特に今戸土人形のうさぎさんはわたしにとって大ヒット。本当に可愛かったです。写真が撮れなくて残念だったので、しっかり目に焼き付けてイラストにしておきました。

⑦鉄道馬車とお馬さん


昔の鉄道=蒸気機関車というイメージでしたが、江戸では鉄道馬車が走っていました。馬2頭が馬車を引き、その馬車が市中に敷き詰められた線路を走るのです。馬車が線路を走っていたというのが驚きでした。その横で負けじと人力車も走っていて、日本人ってすごいなぁと思います。ちなみに、この鉄道馬車の定員は25名だそうです。お馬さんも頑張ってくれていたのですね。日本人と馬の関係がこんなところにもあっただなんて、知りませんでした。

1899年(明治32年)に蒸気機関車が導入され、鉄道馬車は終了したそうです。

さらに1903年(明治36年)には電化が完了し、蒸気機関車は終了したそうです。すごくないですか?わずか4年だったとは・・・。



ということで、美術館での展示会を鑑賞したのですが、博物館クラスの学びがあった「どうぶつ百景」でした。

最後に余談ですが、絵描きとして感動したのが、浮世絵の「赤色」です。鮮やかなのだけれど嫌味がなく、艶っぽいのだけど上品で、もうあの赤にどっぷりつかりたいと思いました。自分の絵で赤を使うことってあまりないのですが、あんな美しい赤を圧迫感なしの自然な美しさで入れていけるだなんて、素敵だなと思った次第です。

ここまでまとまった展示を企画されるキュレーターの皆様にも感謝しています。盛りだくさんでとても面白かったです。

長文お付き合いくださりありがとうございました。


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