若さは可能性です。今日もアトリエには笑い声がこだましています。
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
今日もお疲れ様です
アカンプリッシュ デザインワークス広報部と申します。。
どこの業界でも人材不足は深刻な課題です。
ウエディングドレスの縫製業もそれは同じです。
また、それがさらにここ数年で、市場環境が変化しているのを実感しています。
経験豊富で、熟練した技術をもつ方々が支えている縫製業は、コロナ禍以降、廃業したり引退したりする方がどんどん増え続けています。
熟練した技術が失われていく危機感
ウエディングドレスを作るのにはは(熟練した技術)というのが特に必要で、(経験と勘)という、言語化できない技があり、それを伝承するのは容易ではありません。
ある時のことですが、
け回しが大きいウェディングドレスの裾始末の三つ巻きは、裾はカーブしているわ、バイヤスになっているわで、大変なのですが、
そこを細く繊細な三つ巻き処理をするのがとても旨い、熟練した縫い子さんがいました。
どうやって縫うのかと聞いても、
「そんなん、わからへんわ。」
そりゃ、そうです!
熟練した職人の技術というのは、長年の経験でその技術を、目で盗み、手に染み付かせてきたものです。
また、ウェディングドレスを作る工程は
工業用ミシンの取り扱いだけではありません。
想像以上にウエディングドレスには手作業する部分がある
ウェディングドレスの縫製は手作業の割合も多く、立体でレース(パッカー)をつけたり、ビーディングしたり、
他にも、くるみ釦なども手づけですし、スプリングホック、前カン、ファインホック、糸ループ、透明スナップ、あげたらキリがないほどの
ミシン以外の作業が多くあります。
ミシンだけ踏めれば出来上がるものではなく、とにかく手作業も多い。
白い生地に、白い糸(または透明糸)で縫うことを永遠に作業するのは
ある種、修行に近いかもしれません。
ただ、そんな日々や時間を経ないと身につかない技術があるのも事実です。
オートクチュール的な手作業が多く、どうしても、生産の効率性や速さを追い求められない背景があります。
1着をつくるのに、相当な時間と労力がかかる、それがウエディングドレスです。
ウェディングドレスの業界に若い人の活躍が見られない
わたしたちが、このウエディング業界に飛び込んだ時に、驚いたことの一つに、若い人材が台頭してこない世界ということでした。
デザイナーも含め、縫製士、パタンナーに、新卒者や若手の方が非常に少なく、有名なブランドのデザイナーにいけばいくほど、かなりお年をめされた方々が多い。
先日逝去された、桂由美さんも94歳までご活躍されていましたが、それほどまでにウエディングドレス業界の日本のブランドは若い人材が不足していると思っています。
そういう方々が毎年コレクションで発表するものは、ビックライン(かなりボリュームのあるドレス)ばかりで、シンプルなウエディングドレスのデザインはマーメイド(体にフィットして、裾元がフレアになっているドレス)と、新作といわれるものと、去年発表したものと見分けがつかない。
トレンドを感じるウェディングドレスが日本にない
その時々で、ウエディングドレスの世界にも、トレンドというものがあるのですが、インポートのデザインには、心ときめくデザインが発表されるのですが、日本のブランドのウエディングドレスには、そういうものがない。
そういう鬱屈した思いから、
(ORO ED ARGENTO/オーロ エ ダルジェント)と(HANDSOME WOMAN/ハンサムウーマン)というブランドを立ち上げました。
そのブランドのドレスを外部に製作依頼をしていた頃のことです。
ウエディングドレスといえば、何枚もフリルやギャザーを重ねたり、お城のプリンセスのようなものばかりを縫ってきた、ベテランの縫い子さん(縫製士)や、海外工場のパタンナーに、このドレスのニュアンスがわからないし、こういうドレスは人気がでないと、指摘されました。
表現したい世界観を、製作する人と共有できないもどかしさ。
出来上がったものに、心から満足できない。
時間と労力と情熱が徒労に終わる虚しさ。
何度、悔しい思いをしたかわかりません。
そのうち、ついに自社でアトリエをもつことになり、
そこから、わたしたちのブランドは飛躍的に表現力がアップしていきました。
熟練した技術を補うのは、若さが持つ、真っ直ぐな気持ちなのかも
若い人の感性や、流行をキャッチする能力が、
足りない技術力を補い、
貪欲な探求心をうみ、
固定概念が少ないので、いろんな方法を考えて試すことで
あらたな道を探し出しました。
熟練した技術にはまだまだですが、覚えた技術を習得するには、やはり若さも必要です。
そして、わたしたちのアトリエではモデリストがトワルをフィッティングをして、着用感を確認することがあります。
サンプルサイズ(7号)を自分で着用して試す。
普通は、ボディに着せて、商品の良し悪しの出来具合を確認をするものですが、自分で着てみることで、デザインの不備をつかむこともあるので、それができるのは、若さの特権なのかと思います。
また、ウエディングドレスの納期は、コレクションの場合もあれば、挙式本番のこともあり、納期をどんなことがあっても守らねばならないタイミングがあります。
思っている以上に体力勝負で、納期に追われる時には精神的にも疲弊するこが多い仕事だと痛感するのですが、そんな中でも、モデリストたちが夜中まで集中力が途切れず、やり切る姿を何度も目にしてきました。
時には、そんな修羅場のような状況下の作業場で、小鳥の囀りのような笑い声がこだますることも。
熟練の人の持っている技術は、一朝一夕に身に付くものではありません。
でも、彼らがこれから身につけていくものが、あの日の熟練職人を超えていく日もそう遠くないかもしれません。