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誕生日がキライ #シロクマ文芸部

誕生日、だれにとってもハッピーな1日、のはず。

でも私はこの日が嫌い。


0時過ぎると、競う様に送られてくるおめでとうメッセージ

バカみたい、本当におめでとうなんて思ってるの?


私も最初の頃は送っていたよ、面白かったし

だけど段々、誰が一番遅かったとか、誰はくれなかったとか、みんな文句言われない様に、今日は誰かの誕生日じゃないかって必死になって。

くだらない、それが目的じゃないでしょ


私は送るのをやめた

もちろん、文句を言われた。私の誕生日には誰もメッセージを送ってこなかった。

いいよ、私からそうしたんだから。自分でそう選んだんだから。

外階段に一人で座ってパックのいちご牛乳を飲んでいたら、ジワっと涙が出そうになった。



パラパラパラッ


頭の上に何かが降ってきた。

誰かが嫌がらせでゴミでもまいたの?

キッと表情を厳しくして振り返った。

「え?ちょ、何怒ってんの?今日誕生日でしょ?紙吹雪だよ。お誕生日おめでとう!」

サクラとメイだった。メッセージが来なかったから、嫌われたんだと思っていた。

「おめでとうメッセージ嫌いみたいだからさ、二人で相談して茜が一人になるのを待っていたんだよ」

だから今日は二人ともよそよそしかったのか、不意打ちに緊張の糸がプチンと切れて、涙がボロボロとこぼれてきた。

「えっ!泣くほど嬉しかった?アハハ」

二人が両脇に座って体を寄せてきた。

「やっぱりメッセージの方が良かったかなぁ、もうサクラが余計な事いうから」
「メイだって、いいねっていったじゃん!」

「ありがと…うれしい」

「そっ…か、それならいいけど」


私はやっぱり、メッセージを待っていたのかもしれない。特にこの二人からは。

嘘の言葉などおかしいと、勝手に孤立していった自分。二人みたいに上手く立ち回れない自分に嫌気がさしてくる。


「余計な気を使わせてごめんね」

「いいよ、なんかわかるもん茜の気持ちも。段々何が目的なのかわかんなくなってたもんね」

心のモヤモヤが自分でもよくわからなくて、二人にも何も言わなかった。でもわからないなりに何か話しておけば良かった。どうせわかりっこないなんて、二人に失礼だ。現にこうして何かを感じてくれている。


「まあさ、適当にやっとけばいいのよ。大体の人がそれで喜ぶんだから」
「茜以外はね、でもそれができないのが茜のいい所でもあるんだけどね」
「それって茜のこと褒めてんの?けなしてんの?」
「褒めてるに決まってんじゃん!」

サクラとメイが、場を盛り上げる様にはしゃいでいる。


「さっ、肩の力抜いてさ、卒業まで楽しもう!」

「帰るか」

二人が立ち上がり手を差し出した。

うん、とその手を掴み立ち上がった。



「茜の手、ベトベトしてない?」

「あ、さっきいちご牛乳こぼしたんだった」


もー!!


シロクマ文芸部に参加します。

お題は「誕生日」

これはフィクションですが、結構私って茜みたいなこと考えていたかもと、私の一つの部分に注目して書いてみました。


今年のお誕生日がもうきた方、これからお誕生日が来る方

そして今日お誕生日の方

『お誕生日おめでとうございます!』

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