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雲の上はいつも晴れ

わたしは今、中学校で国語科の教員をしています。常勤講師として任用されて、もうすぐ1年になります。教育実習から25年以上も経って初めて講師をやる人は、とてもめずらしいことでしょう。

わたしはずっと自分に自信がなく、それは今も同じで、教員として力不足な自分をいつも感じています。
ただ今は、自信がないなら人一倍努力して、指導力をつけなければいけない。そう考えています。

とはいえ、勉強したからと言って一足跳びに何でもできる訳ではなく、家に帰っても家事が残っている身なので、教材研究が十分にできない現実に弱気になるときもあります。

要領も悪いし、頭脳明晰なわけでもなく、年齢も若くない…
こんなわたしに務まる仕事だろうか?
いつも自問自答しています。

わたしは文学が好きで、古文も大好きでした。
大学で日本文学を学んだのは、好きなものを勉強して、好きなもののいろんなことを、もっと知りたかったから。
でも家庭の事情もあって、大学院へは進めませんでした。
当時は就職氷河期で教員の道も険しく、すぐに諦めてしまったけれど、時を経て、こうして国語の先生として生きるチャンスをもらって…

改めて、国語の教材に触れることができるこの仕事を、楽しいと思いました。
もちろん大変で、責任も重く、自分の好きを教える仕事ではありません。
子供たちに必要な力をつけさせるための教材であって、教材そのものを教えるのでもありません。

でも、わたしの中高時代、その教科を本当に好きなのだと感じる先生の授業は楽しく、わたしの中にきらりと光る雫を落としていってくれました。
そういう滴るきらめきを、いつか授業で残せるようになれたら…。
一番の目標は確かな指導力を持つことですが、かつてわたしが感じたような「国語が楽しい」「文学が好き」を伝えられるような授業を、いつかできたらいいなと思います。

これまでうまくいかないことはたくさんあり、足踏みしたような状態が長かった人生でしたが、それでも心のどこかで、いつか目の前に澄み渡る青空が広がることをずっと信じていたようにも思います。

「雲の上はいつも晴れ」

この言葉をいつも大切に、いまを精一杯生きています。



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