IPOショートレビュー

学習メモ(随時更新)

上場準備の流れ

・上場に向けて、関係者のアドバイスをもとに上場審査基準をクリアするための社内体制整備を進める。
・上場申請直前2期分について監査法人による監査証明が必要。
・監査契約については、n-3にショートレビューを実施して課題抽出、n-2とn-1は金商法に準ずる任意監査契約、n期に金商法監査契約という流れが一般的である。なお、会社の規模によっては、n-1期以前から会計監査人設置会社として会社法監査を契約する場合もある。

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・上場審査は、有価証券報告書(「Ⅰの部」「Ⅱの部」)の記載内容をもとに、質問事項への回答を行っていく形で進む。

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出典:日本証券取引所グループHP

ショートレビューとは

・ショートレビューとは、監査契約の前に、監査法人が上場準備にあたっての課題を抽出するために行うものである。
・通常1週間程度の調査期間を設け、その後調査結果についてとりまとめたショートレビュー報告書が発行される。
・報酬は150~400万円程度が相場で、会社の規模によって変動する。
・ショートレビューは、あくまで上場のための課題抽出が目的であって、監査やレビューではない。
・ショートレビューで調査する主な項目は下記のとおりであり、基本的に上場審査基準や会計基準に準拠しているかどうかがポイント。調査項目の内容自体は異ならないものの、項目の整理の仕方は監査法人ごとに異なる。
 ・会社概要
 ・コーポレートガバナンス、内部管理体制
 ・業績管理体制
 ・関連当事者取引
 ・適時開示、財務報告体制
 ・会計処理

ショートレビューの流れ

事前準備
・監査法人から事前依頼資料を会社に提示
資料査閲、ヒアリング
・基本的に監査法人が会社に訪問して実施
・事前依頼資料及び追加依頼資料の査閲、ヒアリングを行い、現状理解と課題抽出を行う
報告書の作成
・監査法人は上記の結果抽出された課題をレポートに取りまとめ
・とりまとめ段階で追加質問や資料依頼もある
報告会の実施
・ショートレビューの結果、抽出された課題を監査法人から会社に報告
・証券会社にも共有される

ショートレビューでよく抽出される課題

経営管理
機関設計
・常勤監査役がいない
・内部監査室責任者がいない
労務管理
・労働時間管理ができていない
・残業代を支払っていない
会計
・証票管理体制の未整備
・網羅的に保管されていない根拠資料
・内容不明の残高
・発生主義会計を行うための情報が不足
・不正確な実施棚卸
・在庫の受払記録の未整備
・固定資産管理体制の未整備
・原価計算体制の整備
・関係会社の整理(連結範囲の確定)
・連結決算体制の未整備
出典:日本公認会計士協会「新規上場のための事前準備ガイドブック」

その他参考情報

日本証券取引所グループ「新規上場ガイドブック」
東京証券取引所「上場審査等に関するガイドライン」
トーマツ「株式公開ガイドブック」
PwC「株式上場の手引き」
ACCOUNTECH「絶対に誰でも分かるIPO-IPOとは何か」

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