母乳育児と乳頭混乱
赤ちゃんを産んだら母乳育児をする。
それは私の夢でもあり、やろうと思えば当たり前にできることだと思っていた。
出産も特に大きなトラブルなく終わったし、授乳も出産後すぐから行った。ずっと母子同室で頑張った。
それでも私の母乳はぜんぜんでなかった。おまけに(後で詳しく書くが)乳頭混乱という状態に陥ってしまい、本当に地獄のような辛さだった。
妊娠中もそうだったけど、私は検索魔なのでつねに検索しまくっていた。つわり、息切れや体の辛さ、予定日超過・・・そういった体験談はたくさんみつかったのに、長期の乳頭混乱や母乳不足に関してはあまり見つけられなかった。助産院に通ったり信頼できる助産師さんから助言をもらったりしたけど、なんだか個人の一体験を知りたいなって思った。
エビデンスがある正確な情報と同じくらい、一個人の体験が心を救ってくれることもある。
もしかしたら私と同じように苦しんでいる人がいるかもしれない、そんな人の検索に引っかかったらいいなって思って書いてみることにした。
私の状況を簡単に説明すると、これを書いている現時点で子はもうすぐ3ヶ月になろうとしている。まだ時々乳頭混乱を起こし、直母できないこともあるが吸えることの方が多くなってきた。1日6回程度授乳して(本当はもっと回数を増やしたいが、拒否もあったりで時間もかかるのでこれが限界)、搾乳を3~4回/日して、搾乳かミルクを5~6回足している。(内訳はミルク350前後、搾乳100~200くらい)そう、一日のほとんどの時間を授乳かそれに関連する作業に費やしている。
乳頭混乱というのは医学用語ではないんだけど、直接授乳(直母ともいう)を嫌がってしまい、授乳ができないが哺乳瓶では問題なく飲める状態を主に指す。
要は直接授乳と哺乳瓶での授乳の違いを理解して、哺乳瓶しか受け付けなくなってしまうこと。
私は職業柄知識はあったので、これにならないように哺乳瓶を使わないようにしていたのだけど、産後の疲れなどもあったり、まさかここまでひどい乳頭混乱になるとは予想していなかったので・・・見事になってしまった。
産まれてすぐは、全く問題なかった。ただ母乳がでなくて、数日後自分の判断でミルクを使うようになった。
最初は乳頭混乱を防ぐために、哺乳瓶を使わずカップ(やスプーン)を使ってミルクを与える方法を選択した。ただ、産後の疲れもあってカップ授乳をするのが辛くなり哺乳瓶を使うようになった。
しばらくは特に問題なかったのだが、生後10日目くらいから母乳を嫌がるようになった。母乳をあげる体制になるだけで、首をいやいやするように振って大泣きする。あやしたり、なだめたりしてもだめ。哺乳瓶でミルクを与えるとすぐに上手に飲む。
知ってはいたのに、これは本当に傷つく出来事だった。これを経験している人は全員と握手したいくらい、本当に辛い。
まるで自分自身を、母親としての自分を全力で拒否されているような、嫌いと言われているような気持ちになる。
それでいて哺乳瓶では飲むから、そんなことは絶対にないのに哺乳瓶の方が好きなんだ・・・私には母親としての価値がないんだ・・・と思ったりもした。(思ったり、どころか毎日思っていた。)
たぶん多くの人はこの状態で一ヶ月が限界なんじゃないかと思う。拒否されたから完ミにした人もいると思うし、それは全く悪いことじゃない。むしろ当たり前だ。でも逆に言うと3ヶ月近くまで拒否されているのにしぶとく母乳育児をやっている人はすごく少なかった。
私だけがこんなにこだわっているんだろうか、何のためにこだわっているんだろう、ミルクにすれば楽しく子育てできるんじゃないか・・・ほぼ鬱状態の私は何度も検索し、落ち込み、泣いて、それでも諦めきれなくて授乳を練習するを繰り返して今に至る。
ちなみに私の周りには母乳を無理に押しつけようとする人は一人もいない。夫は本当に優しくて、私のやりたい方法に決して口出しせず、尊重してくれる。もうミルクにしたら?ときっと言いたかったと思う。それでも黙って私を支えてくれた。
それなのにこの母乳にこだわる気持ちはどこからくるんだろう?これがいわゆる母乳信仰というものなのか?自分自身でもわからなくなるくらい母乳をあげたかった。なぜここまでこだわったのかはまた改めて考えて整理してみたいと思う。
ただ、授乳している時の子は本当に可愛い。一生懸命、んくんくと小さな音をたてながら、時には私の顔を見て時には目を瞑りながら母乳を飲む。それを見ていると不思議なくらい、母親として満ち足りた気持ちになって幸せなのだ。可愛くて愛おしくて、自分にしかできないことをしているような、甘くてあたたかい気持ちになる。それがどうしても諦められないから頑張っているのかもしれない。
次の記事では乳頭混乱に対してやってみたことや使ってみた道具について書いてみようと思う。
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