袖から味噌汁の匂いがする

昨年の忘年会、今年の新年会は自粛の方向だ。
あっても参加するかどうかはわからないが・・・。
付き合いが悪いと言われていたかもしれないし、
変な奴だと言われていたかもしれない。
それでも私は会食が苦手だから仕方がない。


会食を卒なくこなすには、非常に多くのスキルが必要だ。
例えば、騒がしい中で特定の人の話を聞くスキル、
食べながら話を聞いたり、相槌を打つスキル、
空いてるコップを見つけて我先にビールをつぐスキル。
残念ながら私にはこれらのスキルを習得する才能がないらしい。

これは、何年も前の話だが、
同僚と昼食に和食の店に入った時のこと。
私は、マグロかつ定食を頼んだ。
持っているすべてのスキルを総動員して、卒なく会食を済ませたつもりが、
後になって右腕の袖が濡れていることに気付く。
そうか、全注意を社会スキルに配分したため、
ジャケットの袖が味噌汁に浸るのに気が付かなかったのか。
そうだ、私は会食が苦手なのだ。


私自身のスキルの話はともかく、会食には大きな意味があったと思う。
食事をしながら話ができれば、同じ釜の飯を食うとまでは言えなくても
腹を割って話をすることができる。
お互いの腹を探り合う会議室の打ち合わせとは心の準備が違う。
食事は家族や仲間とするものだから、
食事をすれば仲間のように感じられる。
価値観のすり合わせや水面下の交渉、
根回しにも有効だったのではないだろうか。

さて、現在では会食そのものが難しくなっている。
これは、価値観のすり合わせや水面下の交渉、
根回しの方法にも変化を与えるものと期待している。
もし、真正面から、丁寧に言葉でやり取りする社会が到来するならば、
喜んでそれを受け入れたいと思う。

お読み頂いありがとうございます。記事が役に立てばうれしいです。このエリアまで読んで頂いた方が、これまでもこれからも幸せでありますように。