希望の道しるべ―がんと共存を目指す日々のアルカリ化療法記録

再発の診断を受け、様々な医師と出会う中で、ようやく「この方法ならがんと共存できるかもしれない」と思えた方がいます。その人は、からすま和田クリニックの「和田洋巳」先生です。初めて診察を受けたとき、和田先生の温かさと誠実さ、そして何よりも「患者に寄り添う治療」を目指す姿勢に、私は深く心を動かされました。

和田先生のご挨拶文には、こんな言葉が記されています。

「私は37年余り、京都大学の呼吸器外科を中心にがん治療に携わり、とくに肺がんの外科治療、抗がん剤治療、放射線治療に関わってきました。その中で一番感じたのは、『自分ががんになったときに受けたい治療だろうか』という問いです。2006年末に日本肺癌学会の学術集会会長を務めたことを機に、『自分や家族が患者になったときに受けたい治療の創造』、『QOL(生活の質)を保った抗がん剤治療』をテーマに考え、患者個人に寄り添った治療の必要性を痛感しました。そして、『強い抗がん剤治療には限界がある。特に術後は副作用の少ない治療があるべきだ』と結論に至り、いまはさらに、『患者さんの免疫力を上げ、体力を保ちながらの治療』が重要だと考えています。この考えに共感してくださる患者さんと共に治療を模索し、提供するために、当クリニックを立ち上げました。」

和田先生の掲げる治療の中心にあるのは「アルカリ化療法」という免疫療法です。私が罹患している腺様嚢胞癌は非常に珍しく、治療の選択肢が限られています。小さな腫瘍であっても大きく切除する必要があり、再発や転移のたびに手術や放射線治療で体の機能を少しずつ失っていくという、過酷な病気です。だからこそ、和田先生の「QOLを維持しながらがんと共存する治療」という理念が、私にとって一筋の光に感じられました。

診察の際、和田先生は私の目を見つめ、率直に話してくださいました。「腺様嚢胞癌の患者さんをこれまで10人ほど診ましたが、まだ十分なデータがなく、アルカリ化療法が効果的であるとは確実には言えません。ただ、他のがんではある程度の効果が認められてきていますし、腺様嚢胞癌にも同じ効果があるかもしれません。」私はそのとき思ったのです。自分自身でこの治療を試すことが、もしかしたら腺様嚢胞癌に苦しむ他の人たちにも役立つ道となるかもしれない、と。

アルカリ化療法を日々の生活に取り入れ、少しでもがんの進行を抑えられるか試してみよう。そしてその経過を自分なりに記録し、データにしていこう。日記を書くのが苦手な私にとって挑戦ではありますが、この行動が少しでも希望の光となることを信じて、日々の小さな変化をメモに残していこうと思います。

この記録が、私自身のためにも、また同じ病に向き合う誰かの力になれますように。

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