見出し画像

アウトバウンド架電の醍醐味

アウトバウンド架電こそが天職だなぁと思う。
最近は架電だけに没頭出来る機会が減ってしまったが、やはりたまに架電をするとこの上ない興奮を感じるので、本当に架電が好きなんだなぁと思うのである。

一方で、世の中的には架電という仕事は辛い業務として語られる場合が多いと思う。量をこなす必要があるし、まともに話せる件数が1日に数件なんてこともザラだからである。
また、多くのSaaS企業では新入社員が入社したらまず直面する業務がいわゆる「テレアポ」であり、飛び込み営業と並ぶセールスパーソンにとっての試金石だったりもする。

そんな架電について、多くの方々に「なぜ楽しいと思っているのか?」と頻繁に聞かれるので、この大事だけどつらい・キツいとされるアウトバウンド架電という業務を最大限に楽しむための考え方を文章にしたためようと思う。

量か質かの議論に終止符を

よく量か質かどちらがより大事なのか、という話があると思う。どちらも大事である。成果は量×質なのだから小学生でも分かる当たり前の話である。その時々の状況によって、大切にすべきことは変わるので、どちらかに重要度のウェイトが偏ることは往々にしてあり得るが、どちらの変数も大切であることは疑いの余地がない。

一方で、順番という観点では量が質に対して先にくるべきだと考えている。この論の解釈においてよくある誤解は、「量が質を磨くゆえに量が必要」という理解である。これは間違っている。量をやったら質が上がるわけではない。質を上げるには質を上げるための工夫が必要である。

では、なぜ量が先に必要なのか。
それは質を上げるための工夫が有効だったのか?を分かるためである。
質を改善する工夫をしたときに、その工夫が成果を生んだのか?を振り返るためには工夫前のアポ獲得率や受注率と工夫後のそれら指標とを比較してみる必要がある。
工夫前の分母が少ないと工夫による改善なのか、たまたま相性の良い顧客に遭遇出来たから数字が上がったのかがわからない。
つまり、工夫をし続けるために、工夫の効果を有効に検証するために量が先に必要なのである。
工夫を始めた週からCVRが改善したときの、してやったり感は本当に最高の快感である。

リストはマーケットである

アウトバウンド架電というのは営業リストを手元に用意して行うことになる。実は、その手元にある営業リストというのはマーケットそのものである。
特定業界のリストかもしれないし、年商がX円以上というリストかもしれない。それは言い換えると〇〇業界のマーケットであるし、年商X円以上の企業というマーケットなのである。

架電担当者が本質的に直面すべき問いは、「手元のリストから何件のアポイントを頂けるか?」ではない。「自分が担当するマーケットに自社の商品がどれほど受け入れられるのか?」という問いである。

あなたが相続についての商品を扱っていたならば、きっと30代ばかりのリストに営業のお電話をしても失注するだろう。すなわち、30代のマーケットには商品がフィットしないということが分かることになる。
一方で高齢者の方々のリストに架電をしたのなら多くのアポイントやご発注を頂けるだろう。

特定のリストに対してプロダクトがフィットすることが確認できると、リストはマーケットなのだからそれはすなわちPMFである。

たとえ、30代の方々に架電をしたとしても「余命宣告を受けている人」にはアポイントを頂けるかもしれない。それは30代かつ余命宣告を受けている方々という小さなマーケットに対しては、PMFを達成することを意味するし、そのようなセグメントのリスト調達を出来れば事業は大きくグロースするはずだからである。

このように自社製品がフィットするマーケットを見つけることには何にも変え難い価値がある。営業リストはマーケットそのものであり、架電というのはPMFを探す旅のようなものなのである。

濃くて多い最強の調査

よく仕事では調査というものを行う。様々な意思決定を行う上で調査は必ず必要である。調査には定性調査と定量調査があるが、架電はどちらも兼ね備えた最強の調査である。

基本的に調査には時間もお金もかかる。調査会社に頼むと調査項目のすり合わせをし、期間を設定し、数十万〜数百万円の費用を払うことになる。

網羅的に色々なことを知りたい場合には、調査に頼る方がいいが、多くの場合本当に知りたいことは限られている。そんな場合には実は自分で数週間〜1ヶ月電話をしてしまった方が早かったりするのではないかと思っている。自社内で完結するし費用も自分の人件費のみ。事前に想定出来なかった質問の分岐にも対応可能だし、量も実現可能だ。何よりリアルだ。

もちろん、調査をめっこりしないといけないことも多いが、携帯とSIMカードとリストさえあればすぐに定性と定量を兼ね備えた調査が出来るということも架電の醍醐味である。

架電で得られる謎の自信

アウトバウンド架電でセールスが出来ると、どこから湧いてくるのか分からない圧倒的な自信が得られる。この自信には2種類ある。
1つは、誰よりもマーケットについて分かっている確信である。どんな顧客に価値提供出来るのか、どんな失注理由が多いのか、これらの問いに対して最も解像度を高められるのは架電の醍醐味である。

もう一つは、生きていける自信である。
極端な話、街中に置いてある求人雑誌の全ページに電話をかけて、「困っていること手伝います」って電話をかけたら、何かしらの案件を頂けるだろうな、みたいな自信がつく。電話一本で売り上げを立てれるという自信に何度助けられたことだろうか。SNSを頑張る前に電話をする。それがリード獲得への近道であることがすぐに分かるでしょう。

こんな感じのマインドで架電をすると、架電は結構楽しくなるので、アウトバウンド架電セールスの皆さんにとって少しでも参考になれば幸いである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?