がんを治せる病気に!“Cを消そう”作戦会議 -deleteC HOPE 2023に参加して-
1月29 日(@虎ノ門ヒルズフォーラム)で開催された「deleteC 2023 -HOPE-」に参加してきました。
このイベントを主催している認定NPO法人deleteCの代表理事・小国士朗さんは、アカデミーヒルズのイベントへ定期的にご登壇いただいている繋がりがあり、私もイベントへ参加しました。
deleteCは、「みんなの力で、がんを治せる病気にする」ことを目指して、活動で集めた資金をがんの治療研究を行う医師や研究者、研究機関に対して寄付をされています。
今回のイベントの第1部では、2022年の寄付先となるがん治療研究の発表と表彰式が行われました。今年は愛知県がんセンター薬物療法部医長の谷口浩也先生と、兵庫県立がんセンター腫瘍内科部長の松本光史先生の研究が選ばれました。
そして第2部は「deleteC アイデア会議」と題して、がん治療研究の方法をディスカッションするグループワークを行いアイデアを出し合いました。
会場には小学生のお子さまから年配の方まで、そしてアスリート、アーティスト、企業、個人など様々な立場の200名の参加者がいらっしゃいました。
私は「この大勢の多様な人々がどのようにアイデア会議をするのか?」と疑問に思いつつ、実は不安でもありました。
ところが、進め方はとてもシンプルでした。
事前に配布されたA5判の“個人ワーク”カードへ「参加したきっかけ」と「自分の得意なことや趣味」の2つを書きます。
そのカードを持って歩きながら、共通の得意なことや趣味がある人を見つけて5~6名を目安にグループを作ります。
グループ名を決めた後は30分のアイデア出しを行います。グループごとに配布されたA3判の“チーム対話!!”のシートへ「グループ名」、「アイデア案」、「実施案」、「実施期限」を記載します。
最後は、アイデア発表とアイデアボードへの貼付です。
20個以上のグループができました。
私は、趣味の「観劇・ミュージカル」で繋がった4名でグループを組みました。若手のお医者さん、ベテランのお医者さん、元製薬会社勤務の方と私の4名でした。
私たちのアイデアを紹介します。
チーム名:Musi
calチーム (cは消してます!)アイデア:ミュージカル「Cats」で「
Cats」として開催する。または、キャスト名で「c」が付く猫の名前から「c」を取って公演する。実施案:その日は、俳優と「deleteCポーズ」で記念撮影ができる、握手ができるなどの特典を準備して寄付を募る。
実施期限:6月末まで名古屋でCatsを公演しているので、6月末までに実施する。
グループで話合いを始めると、色々なアイデアが出てきて、あっという間に出来上がりました。
そして、
「このアイデアは実現できそうだよね。劇団四季へ直談判かな!」
「俳優さんたちも猫の衣装でdeleteCポーズしてくれたらいいね!」
「その日に観劇できた人はラッキーだよね。お得だよね!」
「関係者全員がハッピーになれるよね!」
という発言があり、「これは実施するしかないよね!」という雰囲気に!
私も最初の不安は全くなくなり、楽しいアイデア会議となりました。
同時に、お医者さんが日頃、どんな思いで治療をされているのか、何を大切にされているのか、何に困っているのか等々、いつもはなかなかお聞きできないお話を聞くこともでき、知見が拡がりました。
そしてアイデア発表では、10分しか発表時間がないので、立候補順に4~5グループの発表を予定されていました。
ところが、殆どのグループが「発表したい!」と手を挙げる状態。時間を延長しての発表タイムとなりました。
小学生のお子さまが一生懸命に発表している姿は印象的でした。そして、発表内容も多種多様で、会場は大盛り上がりでした。
最後に、アイデアボードへ自分たちでカードを貼付して終了です。
「なぜ、殆どの人が初対面の大勢で多様な人々の集まりだったのに、こんなにスムーズに、そして楽しく充実したアイデア会議ができたのか???」を、私なりに考えてみました。
ヒントは事前説明にあったと思います。
一つ目は、deleteCのValueにもなっていますが、「あかるく、かるく、やわらかく」でアイデアを出しましょうという説明でした。
がんという病気を対象にしているプロジェクトですが、だからこそ「くらいものをあかるく、おもいものをかるく、かたいものをやわらかく描く」ことを一番大切にされています。
二つ目は、「3つの大事にしたいこと」の説明がありました。こちらもdeleteCのMission、Vision、Valueと紐づいています。
エゾラコゴトを、本気でたぐり寄せる:「心の底から見てみたいエゾラゴトは、思い切り口にしよう。そして、それを本気でカタチにすることにこだわろう。」というValueからの言葉です。
ふだんの暮らしでできるアクション:「ふだんの暮らしの中で、誰もが、がんの治療研究を応援できる社会」というVisonから導き出されています。
自分の好き・できること・強みを起点に:今回のグループの繋がりの「得意なことや趣味」を起点に話合おうという話題のスタートを提供してくれています。
三つ目は、小国さんの「誰も傷つけないアイデアを!」という言葉です。
これにより会場全体が「心理的に安全な空間」になったことも大きかったと思います。
このように、事前に具体的に説明すること、そして、それはdeleteCが大切にしている価値観を体現していることで、参加者の気持ちが1つになったのだと感じています。だからこそ、初めて会った方々とのグループワークでも楽しくアイデアを出せる雰囲気がつくれたのではないでしょうか。
当日は、新日本フィルハーモニー交響楽団による生演奏もあり、とても華やかなイベントでした。
3年ぶりのリアル開催ということでしたが、リアルならではの良さを堪能できたイベントでもありました。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子
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