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人間とAIの役割分担 -デザインについての勉強会-

メンバーズ・コミュニティ「デザインについての勉強会」は、6月の定例会から、主宰の鈴木一好さんがChatGPTをアシスタントにして、二人(?!)で会話をするスタイルで進行をしてきました。
※6月と8月の定例会の内容を紹介した記事は以下になります。

そして、10月の定例会も同様にChatGPTをアシスタントにして進行をしましたが、それはデザイナーの鈴木さんが日々の仕事で、ChatGPTを欠かせない存在として上手く活用しているからこそできる技だと思います。
実際に鈴木さんは、「毎日のようにChatGPTを壁打ちにしてブレストをしている」と言われます。
そして、ChatGPTをはじめとして生成AIの最近の動向やユニークな使い方などをデモンストレーション付きで紹介してくれるので、定例会へ参加している私たちは疑似体験ができます。
例えば。。。。

画像の生成AIによるサービスの動向

前回の定例会(2023年8月)からの2か月で大きな動きがあったそうです。
Adobeが画像生成AIのFireflyの商用利用をスタートしたということです(Adobeのニュースリリース)。
またFireflyのコンテンツは、著作権フリーの「Adobe Stock」の素材を使って生成されるので、知的財産権を侵害することなくビジネスで活用できるように設計されているそうです。
無料版は毎月25の生成クレジットまで使えます。またプレミアムプラン(680円/月)は、素材の透かしロゴなしの状態で、毎月100の生成クレジットまで利用可能です。
参考までに鈴木さんは、Adobe Creative Cloudのコンプリートプラン(Adobeの全てのアプリが使えて、1,000の生成クレジットが含まれるプランで毎月6,480円)を使われているそうです。

一方Canvaはオーストラリアの企業で、2017年に日本でサービスを開始しましたが、初心者でも使いやすいユーザーフェースが人気でユーザーを増やしているようです。この度のAdobe Fireflyの商用化は、Canvaの勢いに影響されているかもしれません。
Canvaは無料プランと、有料プラン(月額1,500円~で素材の透かしロゴ無し)が準備されています。
また、気になる商用利用については、「商用利用は可能だが商用登録はできない」などの注意事項がこちらのサイトに記載されています。

生成AIと著作権や個人情報保護との関係は、様々なシーンで議論がされているところですが、ビジネスの現場での動きを知ることができました。

ChatGPT雑学!

ChatGPTを使いこなすためには入力内容を適切にする必要があります。そのために、プロンプトエンジニアリング(生成AIが最適な答えを返すようにブロンプト(指示文)を開発・改良すること)が注目されていますが、鈴木さんの場合は、日々の活用を通じて、実際に使うからこそ得られる経験知(暗黙知)を積んでいるなと感じています。
例えば。。。

  • ChatGPTを相手に一人プレストをしているときに、もっと意外な答えを期待して、「スティーブ・ジョブズになりきって回答してください!」と指示したら、それっぽい内容になるが、革新的なアイデアではなかった。

  • ChatGPTにも人格(?)があって、怒りっぽくて短気だったり、優しかったり等、画面を立ち上げる度に違う気がする。ChatGPT同士で対話をさせることもある。

  • ChatGPTは、ネガティブな表現はしないが、すぐに謝ってくる。

等々・・・。
このような経験を紹介してくれることによって、鈴木さんの体験を追体験ができる貴重な場だと思っています。

また、鈴木さんは「ChatGPTから革新的なアイデアは出てこないが、実際に人が集まってもなかなか革新的なものは出てこない。でもそのインプットが自分の思考を通じて、革新的なアイデアに繋がるかもしれない」と表現をされていたのが印象的でした。

人間とAIの役割分担

ところで、今回の定例会は「架空のスタートアップを想定して、ブランディングに必要なアイテムをCanvaとChatGPTを組み合わせて作ってみる」という内容でした。

具体的な例として、「できる女の道具シリーズ」という新しい商品の開発を疑似体験しました。
そこで、鈴木さんは5名の架空の人物をChatGPTへ入力して、その5名の会議でコンセプトを考えるという方法を取りました。
これもユニークなChatGPTの使い方ですね!

次に、このコンセプトをもとにしたビジュアル・アイデンティティについて、ChatGPTへ尋ねました。「●●さんになりきって( or ●●さん風に)回答してください」という入力の仕方をしました。
「●●さん」には、堀江貴文、ひろゆき、スティーブ・ジョブズ等の名前が入りました。もちろん、各々違う結果が出てきます。
これらは、どれが正しいというものではなく、感性の領域になると思います。

この点について鈴木さんは、「コンセプト(抽象的な概念)をデザイン(例えばロゴ)にまで落とし込むためには、ビジュアル・コンセプト(トーン&マナー)が重要になってくる。そこには自分たちの意思が入ってくるので、AIからヒントを得るのは良いが、決定は我々人間の役割になる」と説明してくれました。

このように鈴木さんは、生成AIを使う目的、そして役割を明確に認識が出来ているから、上手く使いこなせているのだと思いました。

また、実際にAIを仕事で使う中で「AIの活用によって、①作業を効率化して価格を下げる方向と、②効率化によって得られた時間を付加価値に繋げる方向の二極化が進むのではないか!」と、鈴木さんは実感しているそうです。


さて、「デザインについての勉強会」の次回の定例会は12月17日(日)10時30分~を予定しています。
ChatGPT で作ったブランドのビジュアル・コンセプトをもとに、デザインツールCanvaを使ってロゴのデザインにチャレンジすることになりました。
ChatGPTで作ったビジュアル・コンセプトを、そのままCanvaに入力して生成されたロゴはどんなものなのでしょうか?
それをもとに参加者からの意見を追加して、素敵なロゴができることを期待しています!


番外編!

鈴木さんは、以下の質問をChatGPTへしたそうです。回答が興味深いですね。
問い
デザインの工程の中で、各々が得意なことをリストアップしてください。
1.ChatGPT、Bardなどの生成AI
2.Adobe Firefly、DALL·E 3などの画像生成AI
3.Canva、Adobe Expressなどのデザインサービス
4.人間

回答
それぞれのツールやエンティティの得意な点を、上記のデザイン工程の中で考慮しリストアップします。
1.ChatGPT、Bardなどの生成AI
ヒアリング・リサーチ: データベースにある情報を迅速に提供。
企画・コンセプトの定義: 既存の情報やトレンドに基づいたアイディアの生成。
フィードバックの収集: 一定の情報を基にフィードバックを解析。
メンテナンス・更新: 自動的な情報の更新やFAQの答えの生成。
2.Adobe Firefly、DALL·E 3などの画像生成AI
デザインの草案・初稿: 特定の指示に基づく画像やアートワークの生成。
修正・改善: 生成された画像の微調整やバリエーションの生成。
3.Canva、Adobe Expressなどのデザインサービス
デザインの草案・初稿: テンプレートやツールを使用した迅速なデザインの作成。
修正・改善: 既存のテンプレートを基にしたデザインのカスタマイズ。
制作・実装: 高品質な出力ファイルの生成やプリント準備。
4.人間
ヒアリング・リサーチ: 深い洞察や直感、人間関係の構築。
企画・コンセプトの定義: クリエイティブな思考、直感、独自の視点。
デザインの草案・初稿: 複雑なニーズに応じた独自のデザインの提供。
フィードバックの収集: 人間の感情やニュアンスを理解し、柔軟に対応。
修正・改善: 経験と直感に基づいた質の高い改善。
テスト: ユーザビリティやデザインの感じを直感的に評価。
最終承認: クライアントやステークホルダーとの対話や説得。
公開・配信: 状況に応じた適切な配信戦略の選択。
メンテナンス・更新: 直感や経験に基づいた更新の提案。

これらのリストは、ツールや技術の進化に応じて変わる可能性がありますが、2023年現在の状況を基にしています。


アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

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