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幕末ならぬ博末!?〜開館期間残りわずかな江戸東京博物館

先日、天皇誕生日に「歴史を楽しむ会」グループの1つである、
徳川家を楽しむ会」主催のイベントに参加してきました。

場所は、両国にある江戸東京博物館、通称・江戸博。

イベントのお知らせを見るまで知らなかったのですが、
江戸博は今年の3月いっぱいで、
4年間の長期休館に入るそうです。

開館から30年が経過し、施設に経年劣化が進んできており、
大規模改修をする必要があるため、とのこと。

その影響もあってか、思ったよりも多くの来館者が訪れていました。

今回のイベントは、その休館期間前、
最後の企画展として行われている
「徳川一門─将軍家をささえたひとびと─」
を見学するイベント。

ガイドとして、長年にわたり高校の日本史教諭や
大学の講師として教えている寺尾隆雄先生がおられて、
展示の見所などの解説していただけます。

両国駅前で集合し、すぐそばにある博物館へ。

長いエスカレーターを登って、
常設展示室のある6階入場口へ向かいます。

昨年こちらで開催された、
「縄文2021―東京に生きた縄文人―」展
の内覧会に参加させていただきましたが、
その際は1階の特別展示室だったため、
こちらのフロアを訪れるのは久々です。

ちなみに内覧会を見学させていただいた時の様子は
こちらに記事を書いています。
https://ashinosuke-lab.com/machida_in_joumon2021/

再現された「日本橋」の前にあるスペースで、
まず見学前の予備知識として、
寺尾先生から徳川歴代将軍に関するレクチャーを受けました。

とても充実した解説だったのですが、
そのことについて触れていると長くなってしまうので、
これはまたの機会に。

実際、先生の解説も熱を帯びて、1時間ほどの豪華レクチャーでした。

ベースをインプットできたところで「日本橋」を渡り、
さらに1つ下のフロアへ。

常設展示室は6階と5階ですが、5階には企画展示室もあり、
そちらが「徳川一門」展の展示スペースになっています。

この展示は常設展示室の観覧料で、一緒に観ることが可能です。

「徳川一門」展は、15代続いたとはいえ、
決して安泰・盤石といえなかった徳川将軍家の、
大きな節目を支えた人、特に「将軍家」の外から入ってきた人に
フォーカスを当てた展示になっています。

最初のキーパーソンは、8代将軍・吉宗。

初代・家康の直系は4代家綱で、
徳川宗家すなわち2代秀忠からの流れも7代家継で
途絶えてしまいます。

その跡を継ぐために迎えられたのが、
御三家の一つ・紀伊徳川家の吉宗でした。

血筋でいうと、以降の将軍は15代慶喜以外、
全て吉宗の子孫ということになります。

ですが、その吉宗からの直系も、9代家重いえしげ・10代家治いえはるまでで絶え、
それを継いだのが一橋徳川家の家斉いえなりでした。

一橋家は、吉宗の四男・宗尹むねただを祖とする家系で、
同じく吉宗の次男宗武むねたけの田安家、
孫の重好しげよしの清水家とともに「御三卿」の一つです。

さて、家斉はなんと、53人もの子供をなし、
男子は一門含めて主要な大名家への養子に、
女子は同様に嫁入りさせました。

また、その治世は大御所としての期間も含めて
54年間という歴代最長に及んだとのこと。

幕末には、また直系が絶えた後に
「外」から迎えられた将軍がいましたが、
そのほかにも島津家から輿入れした、
13代家定の御台(=正妻)・天璋院、
天皇家から14代家茂いえもちに降嫁した和宮が、
徳川家存続に尽力したということが印象的でした。

今回の展示で、直接のテーマとは関係ないのですが
一番興味を惹かれたのは「御意之振ぎょいのふり」という史料。

将軍がどの大名と面会し、その際にどんな言葉や動きをするか、
を記したもの。

記録というよりも台本のような感じで、
実際に行なって違った部分を後から修正したり
書き加えたりしていました。

もちろん、こうした史料が残らないやりとりも
あったのだとは思うのですが、
予定調和的にこうしたことが行われていたとは
知らなかったので、とても驚きました。

中でもビックリしたのは、桜田門外の変で
大老・井伊直弼が暗殺された直後の、
14代・家茂の御意之振まであったこと。

緊急事態、非常事態にこうした儀式的な対応をしていたことにも
驚いたのですが、あるいは、緊急事態だからこそ
余計なことを言わないようにこうしたものが用意された、
とも言えるのでしょうか。

ひと通り展示を見た後は、お昼休憩。

博物館1階にあるレストラン、その名も「江戸博砂漠」へ。

江戸東京博物館ですが、なぜか中東の、
エジプト・モロッコ・イスラエルの料理を中心としたお店です。

それはそれで面白い、ということで入店し、
エジプト料理の「コシャリ」を食べてみました。
ライスにレンズ豆やヒヨコ豆などが混ぜられたものです。

ちなみにレシートにこのように書かれていました。

日本にある唯一の砂漠。
実は行ったことがあります。

それは、伊豆大島・三原山にある「裏砂漠」。
日本で唯一、「砂漠」とついた地名なのだそうです。

閑話休題。

お昼を食べ終え、再び6階の日本橋の前へ。

イベントのメイン部分は午前中で終了だったのですが、
ボーナストラックとして、
通常展示を寺尾先生の解説を伺いながら
回るという特典がありました。

展示の文字解説はありますが、
こうしたものを読みながらだと、
回るのに非常に時間がかかるものです。

要点を絞った、しかも深い上に幅広い知識に
裏打ちされたお話を聴きながら展示品を見ていくと、
より早く、しかも立体的に理解することができるなあと
痛感しました。

周りでたまたま見学していた人たちも、
思わず先生の話に聞き入ってうなずいている場面が何度もあって、
こうして解説していただける方の存在は大きいなあ、
と改めて思いました。

自分で見るより早いとはいえ、2時間弱におよぶ解説・見学で、
さすがに先生も我ら生徒もつかれました(笑)

しばらく休憩スペースで座り込んで、感想などをシェアしました。

その後は、ミュージアムショップに立ち寄ってお買い物。

長期休館となるため、図録やその他のグッズが
表示価格の50%オフなど、特価で販売されていて、
かなりお買い得になっています。

こちらは入場券がなくても入れるようなので、
気になるけれど見学するほどの時間が取れない方も、
立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

徳川家を楽しむ会による休館直前の江戸博見学会は
第二弾もあるらしく、
またそのほかの講演や街歩きイベントが
今後も行われるとのことなので、
歴史好きな方はチェックしてみてください。

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