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巨大怪獣の代名詞─山崎貴監督セレクション 歴代ゴジラ上映会その3

山崎貴セレクションゴジラ第三弾

11月3日のゴジラシリーズ最新作
『ゴジラ-1.0マイナスワン
の公開に先駆けて、
今作の監督を務める山崎貴氏が選んだ
ゴジラ作品を上映するイベントが、
池袋ヒューマックスシネマズにて、隔週で開催中です。


先日行われた第3回では、
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』
(略称・GMK)を上映。

同作の金子修介監督と山﨑監督との
トークショーも合わせて行われました。

自分が変われば作品の感じ方も変わる

この作品は公開当時、リアルタイムで映画館で観ました。

その時には気にならなかったことが、
今回引っかかるようになっていて、
作品というのは自分の状態によって入り方が変わるんだなあ、
とつくづく感じました。

特に気になってしまったのは、
主演女優さんの滑舌の悪さ。

ローカルケーブルテレビ局のリポーターの役ですが、
それなのにこれはちょっと……と思ってしまうほど。

でも公開当時は、全く気になった覚えがありません。

というのも、当時はこの女優さんのこと、
好きだったからなんでしょう。

自分の好悪感情でこんなに感覚が変わってしまうんだなあ、
と我ながら驚きました。


不遇のバラゴン

さて、この作品では、日本は「護国聖獣」に守られている、
という設定になっています。

元は暴れていたものを封印して、
神として祀ったことに由来する、とされているのは、
実際の日本の神様の一部にも見られる話ですね。

そうした「聖獣」の伝説が、
狛犬や八岐大蛇の元になっている、
という解釈です。

その護国聖獣が、ゴジラと戦って日本を守ろうとする、
というのがストーリーの主軸の一つ。

その聖獣のうちの1体が、バラゴンという怪獣です。

金子監督は元々『バラン・バラゴン・アンギラス』という
3体の四足歩行怪獣(バランはムササビのような膜で飛行もできますが)
を出すつもりだったとか。

「語呂がいいでしょ(笑)」というものの、
人気も高いわけではないために却下になり、
人気怪獣のモスラとキングギドラが出ることになったとか。

その中でバラゴンは残ったわけですが、
タイトルには入れてもらえず。

しかも作中でも、最初の目撃者のおじさんに
「ご、ご、ゴジラ!?」と間違えて呼ばれ、
生存中は名前を呼んでもらうことさえない
という不遇ぶりでした。

ゴジラよりも小さいながら奮闘した姿と
つぶらな瞳がチャーミングでしたが、
その後、人気が高まった、
という話は残念ながら聞きません。

怪獣=ゴジラ

さて、ここでバラゴンが目撃者によって
「ゴジラ」と呼ばれたことについて。

トークショーでは司会のアナウンサーが、
「色は赤いし耳も大きいし、間違えようがないでしょう!」
と言っていましたが、実はリアルな世界では
ありうることではないか、と思います。

というのも、自分の叔父が
「昔、いいゴジラと悪いゴジラが戦う映画を観た」
という話をしていたことがあったから。

初めは、ゴジラに化けたメカゴジラとゴジラが冒頭で戦う、
『ゴジラ対メカゴジラ』のことを話しているのかな、
と思っていました。

しかしよくよく聞いてみるとそうではない。

別に途中で変装が解けるわけでもなく、
一方は海から、一方は山から出てきて、
それが取っ組み合いの戦いをした、というのです。

どうやら叔父が観たのは、
『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』
だということがわかりました。

そのタイトルからわかる通り、
フランケンシュタインをモチーフとする怪獣で、
全身は毛むくじゃらの巨大類人猿のような姿。

部類としては人型怪獣、とされるもの。
ゴジラとは似ても似つきません。

それを「ゴジラ」と呼んでしまう(同一視してしまった)のは、
巨大怪獣=ゴジラ、という刷り込みがあったから、
と言えると思います。

今回上映されたGMKの中で、
「前世紀末にアメリカで見つかった怪獣が
 ゴジラと呼ばれているらしい、
 実際はゴジラじゃないらしいけどな」
というセリフが交わされます。

これは、ローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』を
揶揄したと見られる部分。

同作ではイグアナが巨大化しただけの怪獣(?)を
ゴジラとは何事だ、と多くの人が違和感を覚えたものです。

ですがこの作品中でゴジラと呼ばれるようになったのは、
巨大生物に襲われた日本の漁船の船員がそれを
「ゴジラ」と呼んだことに端を発することになっています。

つまり、現実世界で巨大生物が現れたら、
それを「ゴジラ」と呼んでしまう
日本のおじさん・おじいさんが少なからずいるだろう、
ということです。

ですから、バラゴンを見て「ゴジラ」と呼んでしまうというのは、
リアリティがある、と言えるわけです。

そういえばいま書いていて気づきましたが、
『サンダ対ガイラ』の前作に当たる作品が
『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』でした。

バラゴンのデビュー作……これも何かの因縁?


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