吸血姫の日記
あの少年に出会った時
私と同じ何かを感じた
それはきっと穴だ
ぽっかりと空いたそれは
何にも変え難い虚しさの空洞
体の真ん中に綻んだそれを抱えてる少年は
私のトゲトゲしたこれとよく似ていた
何かをあてがって埋めようにも一向に満足というものを
知らない
知りたくても、わからないのだ
そのものさえもなんだったのかはっきりとわからない
私のトゲはその少年の穴の縁に吸い付き形がみるみる窪みに埋まっていく
きみとわたしはきっと
同じ穴の狢
周りの人間の優しさを受け入れられないひん曲がった私達は
生き方が下手な所が一緒だった
だからあの日 私は ”平気そう”な顔をして
君に近づたんだ