私と韓国。ちょっとほろ苦い、韓国デビューの話③
続きです。
前回の記事は下記からどうぞ。
韓国最後の朝。
朝食は「神仙ソルロンタン」で念願のソルロンタン!韓国料理には珍しい辛くない料理の1つで、牛骨や内臓をじっくり煮込んだ真っ白いスープ。脂っぽさや臭みは全くなく、薄切りの牛肉やネギ、はるさめが入っています。ご飯と一緒に食べるともう、美味しくて。。毎朝食べたいくらい!
このお店は有名なチェーン店なのですが、明洞店は去年の秋頃に閉店してしまったようで。。コロナの影響でしょうか。残念です。
韓国のデパートとキムチ
ソルロンタンでお腹も心も満たされ、ロッテ百貨店に向かいます。目的はお土産をゲットすること。韓国のデパートがどんな感じなのか興味もありました。デパートに入った瞬間、あの匂いが。そう、キムチの匂い。韓国のキムチは日本よりももっと発酵が進んでいて酸味や匂いが強いです。
ふと、子供の頃マレーシアに行った時のことを思い出した。当時、クアラルンプールに日本のデパートの伊勢丹があって、入った瞬間にドリアンの強烈な匂いがした。外国人が日本に来ると醤油の匂いがすると思うのと同じで、その国の匂いってありますよね。
キムチ売り場のおばさんがとても親切だったことが印象に残っている。これから帰ることを伝えると慣れた手つきでグルグルとラップを巻き、万全な包装をしてくれた。最後は笑顔で「また韓国に来てね。ありがとう」と日本語で言ってくれた。
日本に帰ってからトランクを開けた瞬間にぷーんとキムチ臭がして一瞬不安になったけど、全くこぼれていなかった。軽く感動しつつ、ふとおばさんの笑顔が思い出された。
ホームレスのおじいさんとの遭遇
おみやげをたくさん買い込んでトランクはパンパン。地下鉄に乗ってソウル駅へ。トランクを転がして地上に上がる階段の前まで着いた。すると、背後から髪の毛も身なりもボサボサのおじいさんがいきなり私のトランクを抱え、地上まで運び出した。あ然として一瞬何が起こったのかわからなかったが、すぐにおじいさんを追いかけて階段を駆け上がった。
地上に出るとおじいさんは私に手を出すジェスチャーとともに、何か一言発してきたのだけどその意味がわからなかった。困惑する私を前に何度も手を出すジェスチャーを繰り返してきて、それが「金を払え」ということだとようやく理解した。
髪の毛は伸びきっていて、顔や手はほこりがかかったように白っぽく、服はボロボロで破けていた。おじいさんはいわゆるホームレスの人だった。観光客である私を狙って勝手に荷物を運び、運んだ分の費用を払えと言ってきたのだ。断ろうにも韓国語も英語も出てこない。おじいさんが何度も手を出してくるのに対して、首を横に振ることしかできなかった。仁川空港に向かうA'NEXの乗り換え時間まであと30分。
少しお金を払ったらどこかへ行ってくれるだろうか。。そんな考えが頭をよぎった瞬間、通りがかりの40代くらいのスーツを着たサラリーマンらしき方が現れ、おじいさんを追い払ってくれた。これが韓国での一番のピンチだったがまたも現地の方に助けていただいた。。。
そのサラリーマンの方は急いでいたのか足早に立ち去ってしまい、この時もお礼を伝えることができなかった。とりあえずA'NEX乗り場へ急がなければ。トランクを抱えて駅へ向かってダッシュした。
仁川空港にてたそがれ
出発10分前にA'NEXに乗ることができ、無事空港に着いた。仁川空港は世界の空港ランキングで毎年上位に入るだけあって、とても広くて白を基調としたモダンなデザインが印象的だった。韓国での最後の食事は空港内のレストランで食べた石焼ビビンパ。
食事を終え、一人ポツンと搭乗時間を待ちながら韓国での5日間を振り返っていた。寂しいような日本が恋しいような。さっきのホームレスのおじいさんの顔、にぎやかで雑多な明洞の街、市場で屋台を取り仕切るアジュンマたち、雄大な漢江の流れ、深夜の梨泰院での先生...。いろんな風景がフラッシュバックした。
飛行機が離陸した瞬間はどこか後ろ髪を引かれる思いだったが、そんな私の気持ちとは裏腹にあっという間に日本に到着した。成田空港のゲートを抜けると見慣れた光景が広がる。韓国で過ごした5日間がまるで夢か幻だったかのように。こうして私の初めての韓国旅行は終わった。
その後の私
初めての韓国旅行は本当にいろんなことがあった。もう10年近く経つけど未だに起きた出来事が鮮明に思い出される。
トラブルも多かったからこそ現地の方に助けてもらい、本当にありがたかった。その時に御礼を伝えられなかったくやしさが韓国語の勉強を始めるきっかけにもなった。
帰国後、先生から日本で会おうと連絡が来たが私の中でどうしても不安が拭えなかった。結局その先生に師事をすることをやめ、自分で道を探すことにした。それから2年間は会社員の仕事を続けながら転職活動をしたり食関連のイベントに参加したり。韓国語の勉強もした。でも思うような結果は得られず、32歳になった時に諦めることを決めた。
今でも韓国料理は大好きだし、K-POPや韓国語も、韓国という国や人のことへの興味は尽きない。肌で感じた市場の熱気、外の人間に対する厳しさとあたたかさ、伝統や民族への誇り、ハングリー精神やしたたかさ。いろんな意味で圧倒され魅了された。
一番近くて一番遠い国。歴史認識については難しい問題であることは承知している。それでも両国が歩み寄り、真の意味での交流や和解する日が来ることを祈っている。私自身、これからも韓国という国や文化と関わっていくのだろうなぁ。
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2021.4.6
Abyss0241