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私と韓国。ちょっとほろ苦い、韓国デビューの話②


前回記事からの続きです。
韓国3日目の朝。と言ってももう10時過ぎ。昨夜の梨泰院のバーでの光景がフラッシュバックする。「とりあえず何か食べよう」重い身体をひきずるように、のそのそと洗面所に向かった。

遅めの朝食は明洞の韓国粥の専門店へ。ごま油がきいたお粥はコクがあるのに優しくて、お腹が満たされたら気持ちも落ち着いた。気を取り直して漢江を見て、カロスキルのお目当てのカフェに行こう。地下鉄に乗って狎鴎亭に向かった。

地下鉄での洗礼

忠武路駅で3号線に乗り換える。平日の日中で電車は空いていた。ふと目に入った空席に座った。しばらくすると隣の人の肘が当たっていることに気づき、肘が当たらない位置にスッと身体をずらした。しかし、しばらくするとまた肘が当たっていた。また身体をずらすと今度はずらした直後に隣の人も肘を動かして明らかにグイと強く押してきた。故意だったということに気づいた。

新聞を大きく広げていて顔は見えなかったが痩せていて小柄、白髪で髪は薄い感じだったので高齢者の方と思われた。静かに席を立った。その後すぐに高校生くらいの女の子がその空席に座ったが、特に何もなかったように思われた。

ガイド本や地図を手にしていたので私が観光客ということはすぐわかったと思う。反日という言葉は報道などで度々見聞きしていたものの、自分の周りで韓国に行って嫌がらせを受けたという話は聞いたことがなかった。まさか自分が、という思いだった。もちろん「日本人だから」という理由とは断定できないけど。

後味悪いまま狎鴎亭駅に着いた。漢江はとてつもなく広くて大きかった。風が強くて、足どりはおぼつかない。空は雲一つない快晴なのに私の気持ちはどんより重かった。盤浦漢江公園を散歩して、帰りはカロスキルに行ったがカフェには寄らずすぐに明洞に戻った。遅めの昼食にカルグクスを食べ、カフェでココアを飲む。おいしかったはずだけど味が思い出せない。

夜は東大門周辺をぶらぶらした。ショッピングセンターや化粧品ショップの客引きのお姉さん方々の前のめり感に辟易してしまった。「疲れた...」ショッピングセンターのフードコートで軽く食事を済ませ、地下鉄に乗った。すでに23時近かった。

ホテルに帰れない

宿泊先の最寄駅に着き、改札を出ようとした瞬間、音が鳴って改札が開かない。T-moneyカード(交通系ICカード)が引っかかった。乗る前にチャージしたはずなのに磁気不良なのか?何度試しても出られず、駅の窓口も閉まっていた。誰に聞いて良いのかわからず、ホテルのフロントに電話をかけた。日常会話集を見ながらカタコトの韓国語と英語で伝えるものの、フロントの方もカタコトの英語で意思疎通がうまくできない。面倒になったのか途中で電話を切られてしまった。。。

どうしたら良いのか。途方に暮れ、しばしただ立ち尽くしていた。そんな私を横目に足早に改札を通り抜けて行く人たち。ふと50代くらいのおじさんが私に気づき、改札の反対側から駅員専用の小さな入口を開けてくれた。日本と違って鍵などがついておらず誰でも開けられるようだ。「助かったぁぁぁぁ。。。(心の叫び)」その時は本当に半泣き状態でした。お礼を伝えたかったけど、おじさんは何も言わずに去ってしまった。

名物の参鶏湯

翌朝、韓国4日目。丸一日過ごせるのは今日が最後。今日こそと気を取り直し、ホテルから徒歩圏内の広蔵市場の屋台でオデンやトッポッキを、お昼は近くのお店で冷麺を食べた。仁寺洞では熱々できたてのホットックを食べ歩き、足を伸ばして三清洞へ。韓屋(ハノ: 한옥)と呼ばれる伝統的な韓国様式の建物をリノベーションしたカフェで五味子茶と伝統的なお茶菓子をいただいた。本当にこの時、韓国に来てはじめて落ち着いて過ごすことができたのである。

そして韓国最後の夜、これだけは絶対と心に決めていた景福宮駅近くの有名な参鶏湯のお店「土俗村」に向かった。19時前に到着してすでに長蛇の列。それでもお店の方も慣れているのか交通整備しながらお客さんをテキパキとさばき、30分くらいで注文までたどり着いた。

土俗村の参鶏湯が忘れられない。とにかく美味しかった。いろいろあったことを思い出し、涙出そうなくらいだった。

1人前で鶏一羽分あるのですが完食しました。臭みは全くなく、お肉はほろほろと崩れる柔らかさ。中に詰められた餅米はとろとろでスープに半分溶けている。栗やなつめ、にんにくも柔らかくて。。おそらくかなりの時間をかけてじっくり丁寧に火を通してあるのだろうと思います。鶏の味がギュッと凝縮されたスープは内臓に染み渡るような滋味深い味わい。この味は日本ではなかなか出会えない。これだけでも韓国に来たかいがあったと思わせてもらった。

席はできるだけ多くの人が入れるようにと、座敷に宴会用のような大きなテーブルが置かれ、向かいも隣も基本相席。全く知らない人たちと一緒に同じテーブルで同じものを食べてるのが不思議な一体感だった。

土俗村で食べてから、一番好きな韓国料理が参鶏湯になった。それから何度もいろんなお店で参鶏湯を食べてるけど、まだこの味を超える参鶏湯に出会えていない。振り返ると、韓国は本当に料理はどこも安くて美味しくて。やっぱり韓国料理が好きだなと思った。

ホテルに戻ると荷造りに取り掛かった。帰りは仁川空港からのフライト。空港に向かう前にソウル駅のデパートでキムチやお土産を買おう。そんなことを考えながら眠りについたのだった。

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