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私と韓国。ちょっとほろ苦い、韓国デビューの話①

そもそも私がどのように韓国という国に興味を持ち、どんな風に関わって今に至るのか書いてみようと思う。

初めて韓国の扉を開いたのは、K-POPではなく韓国料理でした。社会人になってはじめて、ランチでいわゆる韓国料理屋さんに連れて行ってもらった。小皿いっぱいのおかず、細長いカトラリーや石鍋。ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるビビンパは始め少しとまどったけど、美味しくて楽しい食の経験だった。

それから韓国料理にハマり、自分でお店を探して食べ歩きしたり新大久保で食材を買い込んで作ってみたり。韓国料理に限らず普段から料理や食べ歩きが大好きだったから「料理や食に関わる仕事がしたい」そういう思いが芽生えた。ちょうど20代後半の頃で、自分のこの先の人生について考えていた時期でもあった。

会社のかたわらフードコーディネーターの専門学校に通い勉強した。そこで韓国料理の先生と出会う。料理関係の仕事に就くなら韓国料理が良い!そう思っていた。熱意を伝えたところ先生が韓国に帰省されている時に合わせ、韓国で会ってお話をさせてもらうことになったのです。これが私の人生はじめての韓国旅行だった。

韓国での先生との待ち合わせ

韓国行きにあわせ猛勉強し、約2週間で何とかハングル自体は読めるまでになった。会話集を握りしめドキドキわくわくでいざ韓国へ。税関を抜け携帯をレンタルし、KTXに乗り込んだ。先生とは翌日の夕方会う約束をしていた。

明洞は思っていたより小さい街で、渋谷や原宿のような雑多な印象だった。人生初めての韓国での食事はテジ(豚)カルビ。韓国では焼肉と言えば、牛よりも豚肉の方が一般的。甘辛い味付けに柔らかいお肉。美味しくて感動したし、日本よりも安かった。

翌日、18時に明洞の韓国料理屋で待ち合わせた。ガヤガヤと人の多い店内で先生の顔を見つけ、ホッとしたのをよく覚えている。グツグツと煮えるチゲをつつきながらhiteビールで乾杯。

先生がお酒を飲むイメージがあまりなかったけれどペースが早い。あと、いつも以上に饒舌だった。少しの違和感を感じながらも先生が話されているのをずっと聞いていた。....なかなか本題に入らない。22時を回った頃、先生からもう1杯飲もうと言われ、ヒルトンホテルのバーへ行くことに。

帰れると思っていたが

バーは私たちしかいなかった。宿泊客らしき人の姿もほとんどない。さぁ飲もうと私に注文を促しつつ、先生もかなり早いペースで飲む。そのうちバーテンダーの若い男性にからみ、途中からはほぼ韓国語で、2人が何を話しているかさっぱりわからなかった。

0時を回りバーの閉店時間。やっと帰れる、それが正直な感想だった。先生とは目的の話はまだ何もできていなかったけれど。この時、帰りのタクシーを予約しているのだとばかり思っていたが、先生はバーテンダーのお兄さんに今の時間でやってるお店を調べさせ、片っ端から電話していた。

0時を過ぎた明洞はもう人通りもまばら。7月の生ぬるい空気に汗をかいていた。タクシーに乗り込むと先生は、梨泰院で深夜営業している店があるからそこに行くと言うのだ。梨泰院は日本で言うところの六本木のような場所で、外国人観光客や駐在の米軍などが集まるクラブや飲み屋が並ぶところ。

到着してタクシーを降りると、赤や黄色のネオン看板が眩しかった。道路は雨でしっとり濡れ、看板の光を反射していた。その時、雨が降っていたことにようやく気づいた。梨泰院に着いた時はすでに深夜1:00を回っていた。不安でいっぱいだった。

違和感の正体

お店は薄暗くミラーボールが回っていて、バリ島を思わせるようなバンガロー調の造りのお店だった。店員はまだハタチくらいのかなり若い男女2人だけ。先生は酔いが回ってかなりフラフラしていたので私が身体を支えながら店内へ入った。50代の先生と私。はたから見ると親子のように見えただろうな。深夜の梨泰院のバーでは異様な光景だったと思う。。

ジントニックを頼んだけど手をつけられなかった。お店の奥の個室では1組のカップルが楽しそうに話していた。場違いな所に来てしまった。先生は完全に酔っぱらって韓国語でくだを巻いていて、ひたすらしゃべり続けていた。かと思ったら急に立ち上がり、フロアの空いたスペースで歌を歌いながら何か民謡のようなダンスを踊り始めたのである。。店員の2人は一瞬茫然としたかと思いきやクスクス笑ってこちらを見て何かを話していた。もうとにかく帰りたくて、泣きたい気分でいっぱいだった。私が感じた違和感、先生は酒乱のようであった。。。

そのうち疲れたのか椅子に座った先生の腕をつかみ「もう3時半回ってます。帰りましょう」振り絞るような声で必死にお願いし、帰りのタクシーを手配してもらった。ホテルに着いた時、朝4時を回っていた。空はうっすらほの明るく、雨は止んでいた。「私は何のために韓国に来たんだっけ。。」そんなモヤモヤでいっぱいになりながらも顔を洗い、歯を磨いてベッドに潜り込んで死んだように眠った。

翌朝10時回って目が覚めたが身体がだるい。借りていた携帯に先生からのショートメッセージが入っていた。仕事が立て込んでおり私が日本に帰るまでの間にもう時間が取れない。また連絡するとのことだった。「私は何のために韓国に来たんだっけ....」またその言葉を反芻していた。

#韓国 #はじめての韓国旅行
#思い出 #ほろにが

2021.3.28
Abyss0241

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