7 郷愁空母(最終話)
「おーい、相棒!」
私、ハーミーズ。今日は非番のデュエリスト。
あれから2週間。アーク・ロイヤルは謹慎を解かれて、また出撃するようになった。凱旋したのを港に出迎えたところ。
「戻ったか。午後から例の空母会だよ?」
「あ、今日か……」
「行かないつもりかな」
「……駆逐艦がいないし」
「いまそれ!?」
ずっとだ、と笑いながら、考えてるのはきっとほかのこと。
「皆を、ひどいことに巻き込んでしまったからな。自粛するよ」
「そうか。なら、私も」
エンタープライズさんは、ちゃんと頑張った。
約束どおり、何をされてもノーコメントだ。
今度は、私達の番(ターン)。
「おいで、気分転換しよう。いい所がある!」
メイド隊にも知らせないで、絶対に答えるなとだけ、念を押してある所。
「デュエルブースかな」
「!?なんでわかった」
***
(エピローグ/アーク目線)
愁いは静かなる闇の底。
記録は消えても胸に響いて止まない。
もうアー君って呼ばれることはない。
プライベートでは二度と関わらない。
「寂しい」と、代わりに口にする人がいる。
「駆逐艦しか興味ない」と弁明することになる。
どうか不義理を許してほしい。
互いの立場と心の灯火を見失わずにいてほしい。
コーヒーの香り、強い声、手のひらになぞってくれた一言。
本当の気持ちは、秘密だ。
エンタープライズXアーク・ロイヤル
「郷愁空母」(ユニオンの星の裏側は闇のR国面)
終
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