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知的障害の人とのある出来事

私の中学には知的障害の人達が通うCクラスというものがあった。
当時のCクラスには私と同級生のEちゃん、そしてひとつ上のA先輩がいた。
今回はA先輩との出来事を話したいと思う。

1年生の時、Cクラスと私たちは同じ階に教室があった。
Aクラス、Bクラス、そしてCクラスが並んで同じフロアになっていた。
各クラスの教室を繋ぐように、多目的ホールという広い空間があり、そこで学年集会や、文化祭の作業などを集まってやったりしていた。

A先輩は知的障害があり、時々変な行動をしていることから、クラスメイト達は敬遠していた。

ある日の休み時間、複数の男子がA先輩を囲んで浦島太郎のカメのようにいじめをしている場面に遭遇した。

私はハッキリとそいつらに「辞めろ」と言った
「先輩に対してそれはどうなの」と続けた


私は、6年生〜中学頭までクラスメイトから無視されていたこともあり、今更どう思われてもいいという考えがあった為である。
その後男子がいじめを辞めたかどうかは記憶にない。
それだけ言って立ち去ったからかもしれない。

そんな事があった後、私は1人で多目的ホールでちょっと重たいものを1人で運ぶ作業をしていた。
そこにちょうどA先輩が通りかかった。
私は、彼に意思が通じると思ってなかったので、半分冗談で「あ、先輩。手伝ってくれませんか?」と声をかけた。
驚くことに、先輩は私の手伝いをスッとやりに来てくれた。
私はその時

あぁ、彼の意思がこちらに通じなくても、彼は私たちの言葉を分かってるんだ。バカにしちゃいけないんだ。

と思ったのだ。

A先輩は今は時々バスでどこかに出かけているのを見かけることがある。
その手にはスマホが握られていた。
彼がその出来事を覚えているのか私には分からないが、私はこの出来事をずっと覚えていて彼が元気にしているのを見る度思い出して、安心している。


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