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2022年の振り返り、貴方はバスフィッシングを「楽しむ」ことが出来ましたか?

「振り返り」って言葉が実はあまり好きではないんです。過去を振り返ってあーだこーだ言って感傷に浸っている暇があれば、未来に向けてあーだこーだと行動するほうが面白いって思ってしまうんです。が、だからと言って完全に「振り返り」を否定するワケではなく、未来に向けて考えるためのヒントを抽出したいなぁ〜と思うワケです。

ということで、2022年からこれからの未来へのヒントを抽出してみると、下記のトピックスが挙げられると思います。ちなみに、どこでよく釣れた、とか、何でよく釣れた、なんてことは横に置いています。てか、ワタシにとってはどーでも良い話です(笑)

★激減する琵琶湖バスアングラー★
2022年を振り返りヒントを抽出するに当たり、このトピックスを無視するワケにはいきませんし、2023年以降の未来を考え行動するに当たってとても大事なことになります。とにもかくにも、2022年は琵琶湖でバスフィッシングを楽しむアングラーが激減しました。これは紛れもない事実で誰もが納得することだと思います。

では、どうしてそんなにも激減したのか?未来のために考えてみます。

その答えは3つの要素の絡み合いだとワタシは感じています。その3つとは……

1.釣れない
これは2022年だけではなく、それ以前2019年頃より囁かれてきて、その声はどんどん大きくなりました。そして多くの方のその「釣果」の比較対象は2005年〜2018年の琵琶湖だと思います。南湖がウィードどっさりレイクになっていたた期間ですね。
で、その「釣れない」ですが、2つの「釣れない」に分類できます。まず1つ目は「ご自身の経験による釣れない」そして2つ目は「誰かの言葉による釣れない」です。
ワタシ的には2つ目の影響がかなり大きかったと思います。というのも、その「釣れない」と伝えていた多くが、我々プロアングラーと釣具屋さんという影響力を持つ存在だったからです。そしてその言葉はSNSに乗り伝播していきます。
そういった影響力がある存在が口にする、そして、人によっては実際に釣りに出掛けてそれを実感する、そりゃ琵琶湖に訪れるバスアングラーは減りますよね。

2.可処分所得の減少
「可処分所得」とは余暇に使えるお金のことです。収入から生活に必要な金額を引いて残るお金ですね。多くの日本人で、その「可処分所得」が低下しているデータがあります。そりゃそうですよね、日々のニュースを見ていたら「収入が増えない日本人」って話をベースに「どんどん上昇する物価」「どんどん増える社外保障費」「増税」なんて話が聞こえてきますからね。誰もが余暇に使えるお金が減るのは当然で、もちろん趣味のバスフィッシングに使えるお金も減りますし、釣りにも行けなくなりますよね。

3.可処分時間の減少
「可処分所得時間」とは余暇に使える時間のことです。お仕事や日々の生活のための時間とは違い趣味等の自由に使える時間です。その「可処分時間」も日本人はどんどん減少しているデータがあります。増えない収入&出ていく出費に備えて働く時間を増やしたり等々で、皆さん日々忙しくされているワケですね。そんなに忙しくされていたら「一日すべてをバスフィッシングに使う」なんてことは減ってしまいますよね。数時間ならとなっても、琵琶湖から遠方の方にとったら、行き帰りでその時間を消費してしまいますね。

ってことで3つの要素をピックアップさせていただきましたが、先述しました通り、この3つが絡み合って「激減」の要因となっているワケです。

3つの絡み合いはとっても単純です。お金がない、時間がない、であっても、もし琵琶湖が2010年代みたいに爆発的に釣れていた時代なら、皆さん釣りに行っていたはずです。お金や時間に無理をしてでも釣りに行くはずです。お金や時間を言い訳に釣りに行くのを諦めなかったはずです。てか、2010年代はそんなアングラーさんをたくさん見ましたよ(笑)が、しかし、2019年以降は、よーし!との一念発起で琵琶湖に釣りに出掛けてみても「釣れない」と感じたり、日々のSNSでプロアングラーや釣具屋さんが「釣れない」と伝えていたら、「お金がないから」「時間がないから」って理由で釣りに行こうと思いませんよね。というか、その2つを言い訳にして釣りに行くのを諦めますよね。つまり、3つの要因で一番大きなモノが「釣れない」ってことになりますね。

てなワケで、↑これらの抽出した事案をもとに、琵琶湖でプロアングラー&プロガイドというバスフィッシングで生計を立てるワタシの立場から、これからの未来を考え行動するに当たって最も大切なことは「どうすれば琵琶湖に訪れるバスアングラーを増やすことができるか」ということになります。間違いなく、琵琶湖でのバスフィッシングで生計を立てるプロアングラーやプロガイド、企業も同じだと思います。「2023年のトレンドルアーはこれだ!」なんてことをやってる場合じゃないワケです。早く手をつけないと生きていけまんよ。

で、ワタシが考える「琵琶湖バスアングラー倍増計画」(どこかの首相みたいなこと言ってる)は下記の2つになります。

1.バスフィッシングの価値観の再構築
「釣れない」から琵琶湖に行かないってことは、琵琶湖にバスフィッシングに行く価値観は「釣れる」ってことになりますよね。人によって求める「釣れる」の量が違うので厳密に言えば「釣れる価値観」に差があるとは思いますが、とにかく「釣れる」ってことがベースになる価値観ですよね。
ちなみにこの「釣れる」って価値観が大きくなってきたのは2000年代に入ってからだと感じています。要因としては「トーナメント」と「インターネット」です。
「トーナメント」は「同じ条件下で釣果を競う遊び」です。とにかく「釣果」が絶対で、勝った人が正義で正解でカッコよい存在です。ですのでトーナメントがピークを向かえた1990年代は、トーナメントで強い人が「バスフィッシングの上手い人&カッコいい人」として広く認知されましたし、みんなそこを目指しました。そしてそんなトーナメントが2000年代に入り、インターネットの普及により多くのアングラーを巻き込むこととなりました。
どういうことか?
インターネットの普及により……デジタル空間で、ブログ→SNS……多くのアングラーが知らない誰かや良く知ったプロアングラーと「釣果」を競うようになりました。デジタル空間を通じてあらゆる人との「釣果の比較」が始まったワケです。もちろんその比較の中で優秀な「釣果」を出し続ければ、トーナメンターでなくても、誰でも、トーナメント時代の1990年代と同じように「有名」になれました。が、そんな時代はあっという間に終焉しましたけどね(笑)
でも、そんな終焉を理解できたとしても、2020年代のデジタル空間もまだ、たくさんの人達と「釣果の比較」するとこを迫ってきますし、たくさんのアングラーがその比較で勝利するべく釣りをしています。その比較に勝利しても得るモノが何かもないのにです。それほどまでに「釣果の比較」は我々の心を深く蝕んでいるワケですから、現代のバスフィッシングの価値観である「釣れる」をぶっ壊し、新しいバスフィッシングの価値観の再構築は果てしなく難しい事案だと思います。
ですが、ワタシは可能だと信じます、てか、それをしなければ暗い未来を待つ琵琶湖のバスフィッシングになるワケで……
ワタシが目指す価値観は「楽しい」です。「バスフィッシングは楽しい」です。この「楽しい」にはもちろん「釣れる」も内包されています。が、ただ「釣れる」を目指すのではなく、琵琶湖の景色や空気感、使用する道具への愛着、眼にする鳥や植物、釣果、等々、バスフィッシングに出掛けることによって得ることができる「体験」や「体感」や「時間」を楽しもう!ってことです。つまり多くの人と比較が出来た「釣果」とは違い、誰とも「比較」が出来ないモノを大切にしたい価値観です。何をどう楽しんだなんて基準があるワケじゃないので他人と「比較」なんて出来ないですからね。

2.広告塔からの脱却
この話は↑の価値観の再構築から少しズレる話になるかもしれませんが、価値観の再構築への道のりで大切な話になるのでお伝えしますね。
「広告塔」ってのは我々プロアングラーのことです。長らく我々プロアングラーは契約するメーカーの「広告塔」として働いてきました。というのも、バスフィッシングの世界でのプロってのは、企業と契約したときに一番に求められることは「広告力」でした。契約した企業の商品を広告する、企業によっては他の企業商品を使用することを禁じてまで広告することを求めてきました。プロアングラーもそれを納得して契約を交わしていました。
そしてその「広告力」を発揮&増大させるのに必要なのが「釣果」でした。とにかくその企業商品で「釣果」を出す。トーナメント時代の1990年代はトーナメントの場でそれが求められ、そして、インターネット時代になった2000年代以降はトーナメントだけでなく、デジタル空間でも求められるようになりました。つまりプロアングラーは契約企業の商品を広告するために「釣果」という「比較」の世界の住人となったワケです。
が、皮肉なことにリアルなトーナメントでなく、誰とでも「比較」が出来るデジタル世界が広がることが、プロアングラーの「広告」に逆風を吹かせました。「広告のためだ!」と躍起になって「釣果」を出してその商品を伝えれば伝えるほど逆風となりました。なぜなら、デジタル世界での「広告」がそれまでの「広告」とは違ったモノになってしまっからです。
簡単に言えば、「広告だと分かる広告」は受け入れられない世界になったのです。そこに「信用」が生まれなくなったのです。バスフィッシングだけでなく、いろんな業界でもそれは起こっています。貴方もテレビCMで有名人が「これは!」なんて言っても「信用」しないでしょ、だってCMですから。
が、この変化に対して バスフィッシングの世界は非常に遅れているように感じます。2022年になってもプロアングラーの「釣果」によって、プロアングラーの「釣果比較」によって、商品が売れると、企業もプロアングラーも信じている傾向があります。早く「広告塔」からの脱却に気がついて欲しいなぁ〜と思います。
では、我々プロアングラーは何になれば良いのか?ワタシは「伝道師」だと思います。書いて字の如く「道を伝える師」です。伝える道はプロアングラーそれぞれで違って良いと思います。それがプロアングラーの個性です。もちろんそこには契約企業の「商品広告」も含まれています。ただ、契約企業の商品だけではなく、道の先にあるその時々の「釣れる」を実現できる他社の商品も正直に「広告」することも大切です。その企業と契約していないプロアングラーが「これだ!」と言えば、タックルボックスに埋もれてしまっていたルアーに気がつくキッカケを得たり、釣具屋で売れ残っていたルアーにヒカリが当たるかもしれません。
先程しましたが、プロアングラーがそれぞれの道で伝えることは「釣れる」ってことです。道は違っても目的は同じです。ただ、それぞれの道を明確にすることによって、「釣れる」が目的であっても、多くのそこまでの楽しさや楽しみ方を伝えることが出来ます。プロアングラーの数だけ道があります。もともとプロアングラーの仕事は「バスフィッシングの楽しさを伝える」ってこてじゃありませんでしたか?それがいつの間にやら契約企業の「広告塔」になっていませんでしたか? 「広告塔」から脱却し、もう一度「伝道師」に立ち返るのは今ですよ!

というワケで、ツラツラ〜と2022年の大晦日に勝手気ままに思うことを書いてきました。その原動力となったのは、バスフィッシングが大好きだ!という気持ちと、そのバスフィッシングで生活できている感謝と、そして、現在のバスフィッシングが向かえてる未曾有の危機に対する憂いです。2023年の琵琶湖のバスフィッシングが、さらにはその先のバスフィッシングが、より良き存在になることを願って止みません。皆様、良いお年を〜(ぺこり)

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