『死はすぐそこに』アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭訳
ホーソーン・シリーズ第五作。第一作はTVのロケ現場にいるアンソニーのところにホーソーンが現れ、自分のことを本に書かないかと持ちかけるところから始まっている。作家自身が狂言回し役を務め、現場での体験をリアルタイムで書くことで、作家の日常とミステリの非日常が混ざりあう。その混ざり具合が絶妙なのだ。ところが、今回はのっけから多数の登場人物がそれぞれの視点でてんでに語りだし、いつまでたってもアンソニーが出てこない。それもそのはず。本作は、めぼしい事件が起きず、新作が書けなくて弱った作