マガジンのカバー画像

読書びより

163
気ままな読書で感じたことや役に立ったことを書いています
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

 すべて、何も皆、事のとゝのほりたるは、あしき事なり。し残したるをさて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶるわざなり。 (徒然草 第八十二段)  完成形を目指すのは良いが、そうしてしまうのは余情に欠ける。あえて、やり残した部分をつくる。なにをどう作るか、それが個性であり、創造性だ。

チェーホフ戯曲の短編『プロポーズ』と『熊』を読んで、クスクス。カフェや電車でなく部屋で読んでいたら、ゲラゲラ笑い声を出していたかも。 海外小説を読んでいて、翻訳にがっかりさせられることは少なくない。だが、浦雅春さんのこなれた文章は出色だ。原著以上の出来栄えではないか。知らんけど。

ワーニャ伯父さん、生きていきましょう。長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう。運命が送ってよこす試練にじっと耐えるの。  チェーホフ『ワーニャ伯父さん』 家族争議や失恋の痛手にも耐え、ソーニャは健気に立向います。失意の伯父をも励ましながら。