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その日、月のない宙に散りばめられた瞬きが わたしの中に染み込んでいった 降り注ぐ光を追いかけると カケラフタツ落ちていたの “これを寒天でとじこめてみてよ“ 声はしても姿はない ポケットにしまって声を探しながら来た道を戻った 溶かした寒天の中にカケラフタツを落とすと キラキラと散らばって とろみの中に染み込んで固まった ひとつまみして そのやわらかな星屑を唇にあてる 目をとじると 彗星のそそぐ夜に わたしに触れたあの声が聞こえるのでした