朝7時の通学路

※2-3年前に書いたnoteの文章がそこそこ面白かったので、校正して公開することにした。

  ――私とヨルシカ『言って。』『あの夏に咲け』との出会い――


 同じ道を毎日歩いていると絶対に飽きる。高校3年間、駅から徒歩20分の高校へと通った。
  通学路には、春に潰れると噂のショッピングモールや、毎年夏祭りが盛り上がる神社、行ったことのない文化ホール、おしゃれなカフェやファミリーレストランがある。
  田舎にしてはよりどりみどりなその道が好きだった。

 通常朝礼が始まるのは9時前だが、私は都合上7時過ぎに登校していた。重役出勤どころか、平社員もいいところだ。
  そんなわけで、このあたりではマンモス校と有名な、本校の制服を着て歩いてるのはほんの数人。見慣れた景色を眺めながら、某声優のラジオを聴いて歩くのが日課だった。

 その日もいつも通りラジオを聴いていて、いつも通り一押しの曲紹介のコーナーに入った。
  イヤホンから流れてきたのは、中学時代に好んでいたボカロ楽曲を彷彿とさせるメロディーライン。
  ヨルシカの『言って。』
  ボーカル・suis(スイ)さんの透明な歌声に、私の心は一瞬で奪われた。

 当時私は初めてのバイト代で買ったウォークマンを愛用していた。ラジオも、わざわざ動画を取り込んだもの。
  スマートフォンで音楽を聴くのが好きではな買った理由は、充電が減るのと、なんとなくBluetoothのイヤホンは使いたくなく、でもカナル型イヤホンじゃないと耳が痛くなるから(私はライトニング対応しているイヤホンはiPhone純正のものしかもっていなかった)。こだわり強めの頑固者なのだ。
  (追記:当時、音楽のサブスク概念はまだまだ黎明期で、好きな音楽を聴くのにCDのデータをわざわざ落としていた時代なのもあると思う。今現在はスマホで、高音質Bluetoothイヤホンでしか音楽を聴いていない。時は経つな……。)

 しかし、『言って。』を聴きたい、ヨルシカの他の音楽が聴きたい、そう強く思った私はSpotifyに出会った。

 以降、私は狂ったようにヨルシカの音楽を聴いていた。片道1時間30分の通学路で、当時出ていた2枚のアルバムーー『夏草が邪魔をする』『負け犬にアンコールはいらない』ーーを何度も何度も再生した。

 作曲のナブナさんが『ウミユリ海底譚』などを作られている方だと知ったとき、率直に、そりゃ好きだわ、思った。私はボーカロイド曲に特別詳しいわけではないけれど、曲の世界観と緩急が好みだった。

 ヨルシカとしての曲も粒ぞろい。
  こんなことを言うのはアレかもしれないが、どんなに好きなアーティストの曲でも、アルバムで一曲ぐらいは自分の感性に刺さらない曲があるのではないだろうか。
  私はとにかくアガりたい性分なので、特にバラード曲だと退屈だなと感じてしまう。ごめんなさい。私が悪いんです。

 しかしヨルシカのアルバムはどうだろうか。
  全部良い。
  
とにかく全部の曲で、どこかしらの旋律が刺さる。全人類一度聴いてみてほしい。

 記憶を当時に戻そう。私が特に気に入ったのは、『あの夏に咲け』


 先述の通り、suisさんの声はとにかく繊細かつ透明感があって、楽譜を上下に行ったり来たりする音符も軽々と歌いこなす。その歌声には確かな芯がある。のびやかでしなやかなのだ。

 『あの夏に咲け』はそんなsuisさんの芯の部分が存分に発揮されている楽曲だと思っている。
  カンカン照りの夏の日、絶妙な距離感の『僕』と『君』の物語(これは個人的解釈)。
  情景が浮かぶ。

  そしてこれを聴くと、朝寝ぼけ眼をこすりながら電車に揺られ、夕方には電車で爆睡していた、あの高校時代のことも想起するのだ。

 夏どころか、私は年中聴いている。そんな思い出のある曲だ。 

 これは本文とはあまり関係ないけれど、Spotifyの無料会員だったあの頃、Spotify premiumのCMを聴くのが好きだった。
  クスリと笑えるあのCMはもうずっと聴いてない。しかし、Spotify premiumが大変快適なのは間違いない(個人的な感想です)。

 長くなったけれど、私の大好きな曲について語ってみた。まだ2曲だけれど、私がヨルシカを語らせていただく上ではこの2曲で十分だ。

 他にも魅力的な曲はたくさんあります。あなたのお気に入りが見つかりますように。


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