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家を出るとき、エレベーターの鏡のところに蜘蛛がぶら下がっていて、「そこ、蜘蛛だ」と言うと彼女が
「ほんとだ。蜘蛛好きなんだよね」と言いながら蜘蛛の尻上、見えない糸のところを掴んで、ヨーヨーみたいに地面に向かって投げつけると、蜘蛛は新しい糸を吐いて対抗した。それを何度かバウンドさせていた。
「これ日記に書いていい?」と聞くと「いいよ別に」と言われた。

今日は最後の晴れで、府中のカフェでケーキのショーケースを眺める。レース越しの陽が強いので席をうつる。店内には僕らしか客がいなくて、こんなにもいい天気で、嘘のよう。いがらっぽい味を思い出す。
映画までの時間潰しで、全てコントロール下にある。

映画館はコナンとマリオで混んでいて、子供は腰の高さに頭があるので避けるのが難しい。トイレが臭くて、子供は小便器からだいぶ離れたところで放尿している。

マリオは巨大なスクリーンでやる。
予告編が流れる。1人だと退屈だが、2人で観ていると何か言えて楽しい。子供はあちこちで話していて、予告編が長くて「いつ始まるのこれ」「もう怖いのは見たくないんだよ」とハッキリ聞こえる。本当に予告編は長い。
始まっても、緩く、発声可能上映のようで、マリオなのでそういう感じでも全く問題がない。顔を見合わせて反応をしたりも、許されるだろう。
微妙に長かったが、面白かった。青甲羅の力学がいちばん良かった。配管工の仕事をもっと見せるべきだった。別になんでも良かったが。

終わるとまだ全然明るくて、彼女の靴擦れのためにチュチュアンナで靴下を買って、ユニクロでキースヘリングのtシャツを買う。
夕食を食べる場所を探したが、どこも超満員で、次第に疲れてくる。妥協で向かった複合施設内のスシローも、当然といえば当然だが、夢のように長く混んでいて、どうしたらいいか分からなかった。彼女も疲れ始め、歩きづらい靴でいる。そしていつの間にか、キースヘリングのTシャツを落としてしまっている。どこで落としたか見当がつかないし、空腹も限界に近くて、もう帰ることになった。
バスで口惜しい思いでいて、口惜しさを分解していくと、くだらなくなってきて、こんなくだらない状況の中にドップリ浸かって抜け出せない精神のことを思う。状況に完全に淫していて、ウブに、感情を乱され、コントロールが効かない。次第に落ち着いてくる。

彼女の家で大葉と新生姜を刻んで、だし醤油と味醂、顆粒出汁で炊き込みご飯を炊いて、ローソンの惣菜を食べる。昨日作った餃子選手権が残っている。明日から雨で、大学は気色の悪い課題を課してくる。とりあえずご飯はうまく炊けた。炊き込みは早炊きにしないで、水分を多くした方がいいかもしれない。今度からはそうしよう。

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