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学生控え室に戻ると、下の学年の人が3人いて、1人が女であとは男だった。
男の子はみんな机に突っ伏して寝ていて、女の子は小さい音量で、ゆっくりの解説動画を見て笑っていた。僕は隣の机で西村賢太の『蠕動で渉れ、汚泥の川を』を読んでいた。

また行って、戻ってくると、今度は男の子が五人に増えていた。みんな起きていた。女の子は、すずめの戸締りのオープニングの歌を歌っていた。途中で歌詞がわからなくなり「まってど忘れした」と言って、なんども繰り返し同じ部分を歌って思い出そうとしていた。思い出すと、今度は友達と遊びに行くのだという話をし出した。「友達は井の頭線沿いに住んでて、私はその子の家に傘を取りに行かなきゃいけないのね?あー、どうしよ。あ渋谷で集まればいいのか。そうか、わかった渋谷だ!オッケーそうすればいいじゃん。ごめん待たせて」と言っていた。男の子たちは誰も反応していなかったけれど、別に構わないようだった。

彼女のバイト先の最寄りの東銀座で待ち合わせ、干物料理の店に行った。
入り口で大きな網焼きをしていて、急な階段を登っていくと障子で仕切られた掘り炬燵の半個室が通路の両脇に並んでいて、1番奥に通された。半個室にはそれぞれ提灯が付いていて、ボタンを押すと赤く光る。それで店員を呼ぶ。
出て行く時に「おいしかったね」と言って出ると、入り口で検討していたカップルの男の方が「おいしかったらしいよ」と女の方に言っていた。

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