6/14

帰ってすぐ、アマトリチャーナを作る。
すると、オリーブオイルが切れる。
トマトソースはまだ残っているので、後でオリーブオイルを買わなくてはいけないと思いながら、昼寝をする。

彼女の姉が、この日記を読んでいて、「あの人は料理人にでもなるの?」と言っていたらしい。明らかにパスタを作りすぎているからだ。しかし、トマトソースはかなりの量を一回で作ることになるので、それを消費するにはパスタを何度も作る必要があるのだ。

起きて、業務用スーパーに行って、オリーブオイルとアンチョビを買う。
スーパーに行って、パスタに入れる魚介を探すと、ホタテの貝柱の刺身用のやつが2個入って500円のと、殻付きのホタテが2枚で500円のがあった。迷ってから、殻付きのを買えば紐や生殖器や卵巣も焼いて食えると思い、殻付きの方を買った。

アーリオオーリオコンポモドーロのベースに、ホタテの貝柱だけを手で割いて入れるのだが、殻付きホタテは鮮度があまり良くなく、ウロなどが臭う。貝柱は大きくて綺麗だ。手で貝柱だけを引きちぎって、割く。
昼寝明けだったし、手順がいつもより多くて、火が強すぎたりする。ニンニクと唐辛子に火を入れすぎている。トマトソースを加え、動画ではもう少し後で入れるように指示されていたホタテの貝柱を、鮮度が心配なのでもうこの段階で入れる。刺身用のやつをレア気味に火入した方が絶対によかった。
出来上がってから、アンチョビを入れ忘れていたことに気付く。業務用スーパーで買ったオリーブオイルの口は、緩くて、油がだいぶ多くなってしまった。しかし、ベースのトマトスープが美味いので、おいしい。貝柱も甘くて歯応えがある。

さて、残ったホタテの部分を、ウロだけ捨てて、油がダクダクのフライパンでそのまま焼こうと思った。油にはニンニクの匂いも移っているのでちょうどいいはずだ。と思ったが、明らかに残りの部分が臭すぎる。焼けば大丈夫だろうと思い、焼くと、胸焼けするような臭みが立ち上ってきて、ニンニクの悪い部分の香おりと混ざり合い、お互いを高めあった。
一口だけ食べてみると、車輪のような味がして、飲み込まずに吐き出した。残りも捨てる。いつまでも臭いので、ゴミ出しに行く。幸い、明日が燃えるゴミの日だった。このマンションは24時間ゴミが捨てられる場所があるが、臭すぎるものを長く置いておくのは申し訳ない。
家に戻るとまだ臭い。ファブリーズをして、キッチンにレモン汁をかけ、放置し、拭き掃除をした。換気を最大にして壁や床も拭いた。なるほど、「料理人にでもなろうとしているのか」か。
ついでに珪藻土のマットをヤスリで削った。

彼女から電話で「広末涼子の手紙見た?」と聞かれ、当然見ているので
「見たよ」と答えた。
「ああいうの、どうやって出回るんだろうね、それがいちばん不思議だ」
と付け加えた。自分で言いながら、なんて凡庸な距離の取り方だろうと思った。TwitterのTLやおすすめでは、手紙で大喜利をする人と、不倫を全肯定する人、報道やそれを小馬鹿にする人に苦言を呈する人、全く話題に触れない人、がいた。流石にストレートに不倫にキレる人はいなかった。
どれも凡庸な反応だった。凡庸でも何も問題がないが、こういう意味では、ああいうものを突きつけられた僕たちは、全員被害者だともいうこともできる、と思った。
風呂に入ってしばらくしてからも、ホタテが臭った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?