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朝、彼女が寝ているうちにアサリとむきエビを買いに出かけると、そんなに湿度がないことがわかった。
部屋でクーラーをつけていて、キッチンとの間の扉を閉めているから、キッチンと玄関の側がぬるい。それが夏らしくて気持ちがいい。ぬるい側でアサリに砂吐をさせて、水管が伸びているのを起きてきた彼女に見せる。

アサリと玉ねぎを水で煮出して、ブロードを作る。
玉ねぎをみじん切りしてオリーブで炒めて、洗ってない米を煎る。そこにアサリのブロードを入れて、日本酒も入れて、蓋をして炊く。
10分ほど経ったら、トマトソースとエビとアサリの身も入れて、焦げないように混ぜながら粘度を調整して、もう一度オリーブオイル、イタリアンパセリを入れて仕上げる。リゾット。アサリのブロードが
リゾットは大分くちくなるし、こなれてくるまで時間もかかるので、夕食までの腹ごなしに丁度いい。
彼女が課題をやる間、川崎にサッと行って、ZARAの夏用のスキニーと、彼女に頼まれた文庫本を買いに行く。これも丁度いいお使い。モール内の丸善は日曜だから混んでいて、レジ前はおじいちゃんに「てれびくん」のような仮面ライダーの雑誌やハリーポッターの文庫本を買ってもらう孫、それに付く両親といった3世代の客が多く並んでいた。ベビーカー内で絵本の角を噛んでいる子供から、会計のためにその本を取り上げると、泣いて、買ってまた渡しても泣いていた。

家について、しばらくそわそわして待つ。日は傾いていよいよ涼しい。
今日は僕の誕生日に高いイタリアンを予約していて、今日はずっとその圏域が延びていくような日だったわけだ。朝と昼の買い物も、ちょっとしたゲームのように感じた。家族で住んでいたときも、日曜の夜に高い店を予約していて、その日は晴れが多かった。昼飯はお腹がいっぱいになりすぎないように、父親が軽い丼ものか何かを作ってくれて、それは逆に凝っていたりもしていた。夕方の傾きもこんな具合だった。幸福の原型というものを多分幼い頃に刷り込まれて、以降もその型でそれを感じていくのだろう。

コースは6品あって、それにハーフワインのペアリング6杯をつけた。
ワインの説明をそれぞれ受けて、その聞いた通りの味だった。
火山灰のような味のワインと聞いて、その通り火山灰の味がした。それに合わせるウニとパプリカの冷菜には、6粒ほど岩塩が振ってあって、塩の味に驚いた。
白桃とチーズの冷製パスタには、梅酒のようなオレンジワインが充てがわれた。
魚と肉のメインディッシュにはそれぞれ、直球の白と赤がきた。

家に帰って、タバコを久しぶりに買って、吸った。
誕生日のラインがいくつかきた。


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