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厄介に曇り、寒い。
自然からのメッセージを素直に受け取るなら「死ね」って言われてるよね、と彼女と話す。
自然に耳を澄ませると、「死ね、死ね」と言っている。
笑えるイメージ。

歩いて蕎麦屋に向かうのだけど、意外と遠いし、薄明るい曇り空は歩くだけで疲れる。蕎麦屋は臨時休業で、別の蕎麦屋に向かうと、蕎麦屋の前の道路の往来で、選挙演説とその応援と聴衆が人だかりを作っていて、蕎麦屋はもう閉店していた。

とんかつ屋は空いていたので先週も食べたけど入る。
ここのとんかつ屋に限らず、蒲田のとんかつ屋はどこも無菌の豚を使っているので、レア気味に揚げてくれる。だけどこの店は、火入の仕方がまばらで、今日も接客が多かったのかロースには火が入りすぎていた。フィレは、ピンクだった。

商店街にはおでんの練り物を量り売りする店があって、
寒いので夕飯はおでんにする。
ごぼう巻き、蓮根揚げ、餅巾着、はんぺんを買う。
「はんぺんはお召し上がりの直前に入れてくださいね」

スーパーで日本酒と、おでんの出汁と、油揚げ、春キャベツを買う。おしゃれなおでん屋さんは、春キャベツを芯を残したまま、スイカのようにカットして出すイメージがある。なんなら焼き目をつけてから入れていたりもする。トマトもある。

家に帰るとぐったりして、眠ってしまう、そんな曇り方だった。
起きたら夕方で、大根を買い忘れたので、買いに行くと、少しはいい感じの天気で、順当に4月だった。厄介な雲は少し晴れ、遠くの方はぼんやりと白み、そこからフェードインした雲が、羊の腹のように段々になって、うっすらと赤い。

おでんのスープに日本酒を入れるとすぐに店の味になる。
煮込み時間が足りなかったのと季節じゃないので大根は普通だったけれど、練り物屋で買った練り物だけは格別に美味しく、はんぺんは魚の味がした。

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