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昨日とは打って変わって、指導医から一言も質問されなかったので、怒っているのではないかと不安になる。昨日カルテをチェックしてから帰ると言っていて、そういえば昨日の帰り際に着替えた後の先生を見かけて、こちらに気づいているのか無視されているのかわからないが、会釈をスルーされた。
そのままついていって、考えすぎかと思ったが、いちおう申し訳なさそうな体付きになって、両面対応しておく。
会心が終わると「忙しくてカルテ見れてなくて」と言われ、そのままチェックが始まり「うん、よく書けてる」と言われたので結局は取り越し苦労だった。

彼女が家に来るのを待つ間、料理をする。パスタは出来立てじゃないと美味しくないので、前菜みたいな感じでラタトゥユだけを作る。賽の目に切ってトマトで煮込むだけなので、夏はこればかりになりそうだ。今回はホールトマトでなくて、中くらいのトマトを2つ買って、湯むきして使う。僕は生のトマトが食べれなくて、小学校の給食の献立にトマトを見つけると、1か月前から憂鬱だった。匂いも見た目も嫌で、皿に盛られるだけで虫のように気色が悪い。担任が残食を許さない人だったので、牛乳で飲み込む必要があった。プチトマトはまだいいが、普通のトマトが出てくると本当にどうしようもなかった。吐き気を堪えながら、味噌汁やら牛乳やらで、鼻を摘んで流し込んだ。
そんな僕が、今トマトを湯むきしているのは、なんという時間の流れなんだろうと思った。
今も生食は苦手で、火を通したものは大好きだ。

彼女がきてラタトゥユで腹ごしらえをしてから、砂抜きしておいたアサリでボンゴレロッソを作る。ニンニクを炒めてアサリとトマトを蒸し焼きにして、そのベースでパスタを煮込む。最後オリーブオイルで乳化させてバジルとイタパセを入れる。トマトが酸を担ってうまい。アサリの旬は終わっているのでロッソでないと美味くないし、しょっぱいのだ。

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