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弱踵蹄

スぺさんは酷い弱踵蹄(アンダーランヒール)だ。

アンダーランヒールとは、遺伝的要因・強負荷の調教・装削蹄の遅れ等の要因から蹄に過度な荷重が掛かり、蹄踵が潰れてしまった状態のことをいう。
この状態の蹄でいることは、屈腱炎、骨折、蹄病、腰痛など様々な傷病のリスクを抱えることと同義だ。

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蹄踵部の蹄壁が前方へ巻き込まれながら伸びてきているのが分かる。
こうなってしまうと蹄機(蹄が持つ機能。接地の際に拡縮することで血液循環を促したり、衝撃を緩和したり)も正常には働かない。

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写真を見る限り、2歳時の蹄は問題があるようには見えないので、競走馬として過ごした4年の間に進行したものだろう。

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現役の競走馬の50%以上がアンダーランヒールだという。
日々ハードなトレーニングを積む競走馬の生活スタイルを考えると、仕方のないことなのかもしれない。
一番の治療法は跣蹄(はだし、蹄鉄をはいていない状態)で休養、その間に適切な削蹄をして健常な蹄に近付けることなのだが、現役の競走馬ではそれも難しい。

恥ずかしいことに、厩務員の頃の私はアンダーランヒールについての知識がほとんど無かった。
職場が若馬ばかりで、古馬に起こりやすいこの問題に直面する機会が無かったということもあろうが、スぺさんを引き取ったことで初めてそのリスクを知り勉強を始めたのである。
今更自分の勉強不足を悔いても仕方がないのだが、どうしてもっと…という歯痒さは消えることはないだろう。

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スぺさんは現在蹄鉄を履いていない。
恐らく今後も履かせることは無いだろう。
蹄鉄を履かせることで蹄を護りながら治療する「装蹄療法」という方法もあるのだが、装蹄師さんとも相談し跣蹄+ブーツで進めていく方針に決めた。

ブーツについては、次回以降の記事で。



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