禁忌を「冒す」

『一三分間死んで、戻ってきました』がなかなか校了しない。
「ランドセンの断薬は自殺念慮がある」と聞いたがゆえに、「完全に断薬する実験をした」ときのことを「禁忌を冒す」ことにしたと書いていた。
この場合の「禁忌を冒す」は医者に黙って、断薬する行為を指す。
しかし、辞書的にはここは、「犯す」か、「侵す」が正しい。
「禁忌を冒す」はたぶん辞書には載ってないのではないか。
しかし、僕は「犯した」覚えも、「侵した」覚えもない。
もともと自分の自由である。
自由であるのだから「犯す」のも「侵す」のも不可能であろう。
その自由の中で自分で「禁忌」を「冒した(冒険した)」のである。
だから、「冒した」が一番正確だと思った。
その決定をするまでに、この一字について、昼寝による「睡眠脳内考察」を挟んで2時間かかった。
誤字だと世界の誰が思おうと「冒す」にし、なぜそうしたかは、わかる人だけ気づくのでいいと腹を決めた。
すべての文章について、そういうレベルで字句を選んで書いているので、校了には時間がかかる。
だから、編集とかいうわけのわからん種類の人間には、一字一句、触ってほしくない。
意見を言ってくれるのはいいけれども、僕が決める。
まあ、そういうわけだ。(笑)

追記
僕の文章に勝手に手を入れたら、僕はキレる。
どんな親友でもキレる。
あるいは親友はそれがわかっている。
だからⅠさんは僕の文章を触りたくないと何度もPHPに言った。しかし、PHPが売り上げのためには触ってほしいと言った。それでついにⅠさんは触った。
禁忌を犯し、侵したのだ。
僕はキレた。
PHPとの話は断った。売上げなど関係ない。出版社のブランドは関係がないか、むしろマイナスだ。自分の書いた文章としてこの世に遺してもよいかどうかという問題だ。
PHPのせいで僕とⅠさんの関係もキレた。(PHPは罪の大きさがわかっているのか?)
僕はあらゆる人々の侵入から、自分の文章を守った。これでよかった。


もしも心動かされた作品があればサポートをよろしくお願いいたします。いただいたサポートは紙の本の出版、その他の表現活動に有効に活かしていきたいと考えています。