吉村萬壱「出来事」

吉村萬壱「出来事」読了。細部に気を配って飽きさせない文体を維持する苦労がしのばれる。作品としては、どこまでをフェイク、どこまでをホンモノとするのかが、中途半端な気がした。人間の社会的合意がフェイクなのか。人間の脳の認識パターンそのものがフェイクなのか。

おそらくはそのせめぎあうどこかで書いている。だから緊張感があるともいえるが、だから脳の認識パターンそのものの徹底破壊の恐怖も清々しさもないとも言える。自分が書きたいのは実は脳の認識パターンそのものの破壊の恐怖と清々しさなのだと思った。

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