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~光を浴び、光を反射するダンス~

『浄土真宗の法事が10倍たのしくなる本』前書き 初稿

(結局、これはあとがきに活かしました)

~光を浴び、光を反射するダンス~

今、私はあえて言おう。
私たちが無碍光を必要としているだけではない。
無碍光の方でも私たちを必要としているのだと。

なぜなら、そこに何らかの「光の障碍物」がなければ、
私たちは光を見ることができないから。

私たちが見ることができるのは、
「光源そのもの」と「光の障碍物」に反射した光だけだ。

何もない真空状態であれば、
光は素通りするだけでそこは真っ暗闇だ。
宇宙空間が真っ暗闇なのはそのためだ。

空が青いのはそこには空気があり、
空気中の粒子が青い光を乱反射するからだ。

「光の障碍物」がなければ、この世は暗黒だ。
ただ光源が光を放っているが、
それはどこまでも果てしなく暗闇の中を進むだけだ。

これによってわかるだろう。

私たちが無碍光を必要としているだけではない。
無碍光の方でも私たちを必要としている。

私は仏教の往還二相を次のように表現したい。

往相(悟りに向かって往く姿)とは
私たちが無碍光に目覚めそれに身をさらしていくプロセスだ。

還相(悟りをひらいた自分がこの世で周囲に光を放つこと)とは、
無碍光に必要とされるままに、
私たちが自分自身にしか反射できない光を反射することだ。

私たちは皆、光の障碍物だ。
だからこそ、それぞれの光を反射し放つことができるのだ。

私はこれが浄土教の言っていることだと思う。
そこには微塵の暗さもない。

報恩感謝と言われると恩義を返すために
わざわざ何かをしなければならないかのようにも聞こえる。

が、事はもっと単純で自然なことだ。
光を浴びた私たちは、光を乱反射して踊る。

それがそのまま、報恩感謝なのだ。

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長澤靖浩

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