ヨーガとは

その8
ヨーガに対する辛口のコメントを紹介しておいてもよいと思います。チベット仏教で、最も知名度が高く、ダライ・ラマが属するゲルク派(dGe lugs pa)の開祖ツォンカパ(Tsong kha pa1357-1419)は、その主著『菩提(ぼだい)道(どう)次第(しだい)広論(こうろん)』Lam rims chen mo(ラムリムチェンモ)において、以下のように述べ、ヨーガ偏重の瑕疵(かし)を、鋭く、説いています。長尾雅人博士の歴史的訳を使って、示しておきましょう。
 かの三昧(さんまい)(samadhi)〈=ヨーガ〉のみで〔満足〕するならば、〈三昧は〉外道(げどう)とも共通するものであるから、彼等〔外道〕の道と同様に、たとえそれだけを修習〈修行〉しても煩悩(ぼんのう)の種子(しゅうじ)〈=種〉は断ぜられず、従って〔三〕有〈輪廻の世界〉から解脱(げだつ)することとはならないからである。(長尾雅人『西蔵仏教研究』1954,p.101、ルビ・〈 〉私)
ここにはっきりと、「ヨーガ偏重主義」への批判が伺えます。然るに、ヨーガという手段を、目的化するのは、大いにあり得ることなのです。

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