見出し画像

トライアローグ 2020年12月8日

#トライアローグ #横浜美術館
#2020年12月8日 #パブロピカソ #アンリマティス

お気に入りの作品を一つ、二つ見つけた、という結論。
セクション2~3(1930年代以降)は私の性には合いませんでした。

「青い肩かけの女」
 パブロ・ピカソ 1923年、油彩、カンヴァス、APMoA所蔵
このような画って、以前だったら素通りしてました。好きな画ではないです。でも違和感は感じません。描かれている女性の意思を感じます。画全体の暗い雰囲気から後ろ向きな印象を持ちますが、そうではないです。いえ、彼女の意思が前向きか後ろ向きか、ではなく、一歩踏み出そうとしている意思を感じます。ほぼ青緑色で埋められたカンヴァスからこんなに訴えられるなんて初めて。・・・これがピカソの実力なのね。

(脱線します。先日放映されたNHKのテレビ番組で、三船敏郎の特集をしていました。彼が何かの例えでピカソの名前を出していました。もちろん何10年も前の逸話です。「ピカソ」という名前だけで何10年前と現在とが直ちに繋がるんだ、と認識した瞬間でした。桁外れの著名人の名前は江戸時代の浄瑠璃の如く、共通言語なんですね。音楽、演劇、美術・工芸品、工業製品、農作物などなど生み出されたもの自体が何世紀にも渡って受け継がれて、昔の人と現代の人とが繋がることは当たり前のようにあります。でも、名前だけで繋がるこの不思議・・・。私にとって三船氏は銀幕のスターであり、遠い遠い存在ですが、「ピカソ」という名前を出すだけで三船氏は私の眼前に居る一人の人間になったのです。)

「待つ」 アンリ・マティス 1921-22年、油彩、カンヴァス、APMoA所蔵
今回No.1でした。描かれている空間のバランスが非常に良いと思います。
二人の女性、室内空間、窓、外の景色。
もうすぐ帰って来る人を待っているのか、何年も先の人を待っているのか、当てのない人を待っているのか、別に人を待っている訳でもないのか・・・。
ちょっと無機的にも思える画を見ていると色んなことを想像します。13時から14時くらいか、陽が最も高いときに所在無げに窓際に立つ二人。でも窓から見える外の世界はいつも通り動いている。帰ってこないからと言って自分たちは何か困っている訳じゃない。何の気なしに窓際に立ってしまう。やっぱり何かを期待している? ・・・二人の思惑は全く別のところにあるのかもしれない。
「待つ」と聞くとちょっと陰鬱な気分にもなりかねないけれど、そんなこと誰も気にしちゃいないのよ、と言っている様。見れば見るほど面白い画です。

これで暫くの間は横浜美術館とお別れです。美術館・博物館の改修(改装)工事は珍しいことではないけれど、年単位で休館というのは何時聞いても寂しい限りです。とは言うものの、これまでの経験からアッと言う間に時間は過ぎて、もう開館? となるはず。再開館のタイミングはヨコハマトリエンナーレになるのかな?

画像1

2021年4月26日追記
愛知県美術館の記事を見つけたので。上記した「待つ」が掲載されています。