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#12 14年ぶりの千葉県でのプレー 【あべしょーのKick Story】

阿部翔平選手のこれまでの人生やキャリアを振り返りながら、「阿部翔平のキック理論」が確立されてきた背景を探るシリーズ、「あべしょーのKick Story」。今回はジェフユナイテッド市原・千葉に所属した2016シーズンがテーマです!当時のチームやチームメイトとのコミュニケーション、さらにはつい先日海を渡ったあの選手についても教えていただきました。

前回のインタビューはこちら

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――ヴァンフォーレ甲府で2シーズンプレーした後、ジェフユナイテッド市原・千葉に移籍しました。この移籍にはどのような思いがありましたか?

2年間、甲府でプレーしてぎりぎりでしたが残留できたので、また違うチャレンジを求めたというのはありますね。千葉県は僕が高校時代を過ごした場所でもあり、新しく風を吹かせて頑張ろうという気概も感じたので、ジェフで何かできればいいなと思って決断しました。

――市立船橋高校を卒業してから実に14年ぶりに千葉県の地でプレーすることは、阿部選手にとってどのような意味がありましたか?

千葉で育ったわけではありませんが、濃い3年間を送らせてもらった土地ですし、先生や同級生も含めて千葉県には応援してくれていた人も多いと思うので、多少の差ではありますが他の地域でやるよりも近くでサッカーを見せることができました。高校時代と同じ土地でプロとしてプレーできたのは応援してくださる方にとっても自分にとっても嬉しいことでした

――2016シーズンの千葉は阿部選手を含めて19人もの選手が加入しました。あまり前例がないことだと思いますが、新加入選手が多いチームで慣れない部分はありましたか?

選手それぞれが持っている価値観の擦り合わせは簡単ではありませんでした。もちろん、監督の方針に従いますが、細かいところの調整は選手間でコミュニケーションをとらないといけないので、問題がひとつ出てきたときに選手全員が瞬時に対応できるかどうかという意味では難しかった印象があります。

――コミュニケーションの話が出ましたが、当時や現在の阿部選手がチームメイトとのコミュニケーションで意識していることはありますか?

今は年齢も上になってきて、他の選手との接しかたも変わってきているとは思っていますが、当時も今も個々のプレーの特長を踏まえてアドバイスするようにしています。あとはサッカーにおいて絶対に守るべきルールやセオリーがあるので、それについては時に厳しく言うこともありますね。また、プレーにもその人の性格が表れると思うので、個人の性格面も踏まえながらコミュニケーションをとるようにしています。ただ、僕はその人を観察しちゃって「この人とはこういうふうにコミュニケーションをとったほうがいいんだろうな」と考えてしまったりしますね。そういう意味では、例えば今のチームメイトの柴さん(柴村直弥=SHIBUYA CITY FC)は初対面の人であっても積極的にコミュニケーションをとるのが上手いと思いますね。

――「サッカーにおいて守るべきセオリー」とは具体的にはどういったことでしょうか?

本当に単純なことで、サッカーとして当たり前のことです。例えば、「隣の選手が前に出たらもうひとりの選手はカバーする」。そういう場面でふたりが同時に前に出てしまっているときははっきり指摘します。それでも選手のなかには間違った動き方を体が覚えてしまっていることもあります。僕の指摘もだんだんキツくなってしまいますが、ひとつのミスが勝敗に直結することもあるので、それくらいの気持ちや感情で伝えていきたいと思っています。

――2016シーズンの話に戻ります。昇格が目標だったチームでプレーすることにプレッシャーは感じていましたか?

絶対に昇格しないといけないというプレッシャーはあったと思います。ジェフと対戦する相手チームも試合に対するモチベーションが高かったと思うので、そういう意味でも難しかったと思います。結果が伴わなかったシーズンでしたが、それまでの負のスパイラルを上回るような確固たるサッカーができなかったのが原因だったと思いますね。

――当時のジェフユナイテッドで印象に残っている選手を教えてください。

まず、近藤(直也)選手が上手かったと感じます。僕と同い年のセンターバックの選手でしたが、ロングキックを右左の両足で蹴れていました。他には町田也真人選手(=現・大分トリニータ)ですね。普通のキックも上手いのですが、特にボレーの精度が印象的です。その年も浮き球をボレーをたくさん決めていて、浮いているボールをゴールに沈めるのが上手い選手だなと思っていました。あと、オナイウ阿道(=現・トゥールーズFC)が頑張っているなと思いますね。阿道にアシストしたのもいい思い出です。当時からゴールへの意識が強くて、とても成長を求めている選手だと思っていたので、僕自身も注目していますし、今の活躍が嬉しいです。

――最後に、ジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターの皆さまにメッセージをお願いします。

1年という短い期間しか千葉ではプレーはできませんでしたが、千葉県というプロになれるまでの実力をつけさせてもらえた土地で2016シーズンを過ごして、多少でも何かに貢献できていたのなら嬉しく思います。ジェフでの1年は短い時間ではありましたが、そのときの経験は今にも活きていると思いますし、僕の高校時代から応援してくれている人たちが今でもいると思うので、そういう方に喜んでもらえるためにも比較的近い東京(SHIBUYA CITY FC)で頑張って、千葉県までその活躍が届けばいいなと思っています。

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次回の「あべしょーのKick Story」は最終回となります。ジェフユナイテッド市原・千葉からヴァンフォーレ甲府に戻った阿部翔平選手。この時期にはボランチやインサイドハーフなど新境地を切り開いていくことになります。新たなポジションで活躍するため、そしてプロ入りから試合出場を積み重ね続けてきた秘訣も伺いました。次回もどうぞお楽しみに!

(次回の更新は8月下旬を予定しています)


監修・制作:阿部翔平(SHIBUYA CITY FC)

取材・制作・編集:川上皓輝(SHIBUYA CITY FC スタッフ)


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