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データ(の一部)から不登校を考える

不登校生が増えていることや、不登校の原因が様々であることは
認識されている方も多いと思いますが、
国が調査をして公開しているデータまで見ている、という親御さんは少ないと思います。

そこで今回は国が公開しているデータの一部を示しながら、
そこから見える「不登校の現状」や、ボクの見解などを書いてみます。

「国が公開しているデータ」はいくつかあります。

よく聞くものですと、内閣府が出している「子供・若者白書」。
こちらは直近で「令和3年度版 子供・若者白書」がサイト上で公開されていますので、もし興味がある方はご覧になってみて下さい。

今回は、
文部科学省が令和3年10月に発表した令和2年度の調査結果(の一部)を紹介します。リンクは記事の最後に載せておきます。

正確には

文部科学省初等中等教育局児童生徒課による
「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

です。

こちらの文部科学省のレポートはかなりの量になりますので、
今回はその一部「不登校の要因(原因)」のデータについて
考えてみたいと思います。

「不登校の要因」(令和3年 文部科学省)

「どんな調査項目なのか」

項目は、まずどこに要因があるのか、で大きく3つにわかれています。
「学校に係る状況」「家庭に係る状況」「本人に係る状況」の3つです。

そしてさらに項目が細かくわかれます。
「いじめ」「いじめを除く友人関係」「教職員との関係」「学業不振」「進路の不安」「部活動への不適応」「学校のきまり等の問題」「入学・進級時の不適応」「家庭環境の変化」「親子の関わり方」「家庭内の不和」「生活リズムの乱れ・あそび・非行」「無気力・不安」「該当なし」

これらの項目に対して
「主たるもの(主な要因)」「あてはまるもの」と複数回答による調査になっています。今回は小中学生について、この調査結果のデータをご紹介します。

「どんな要因が多いのか」

不登校の要因について、どの項目が回答としては多いのでしょうか。

最も多いのは
小中学生いずれもダントツで「無気力・不安」が高い割合を示しています。

小中学生で「無気力・不安」が要因の不登校生は46.9%、実に半数近くです。
小中学生で次に多いのは「生活リズムの乱れ・あそび・非行」で12.0%

この2つの項目は、いずれも「本人に係る状況」に分類されています。

つまり、
「どんな要因が多いのか」、それをデータ上だけで確認しますと
不登校の小中学生の半数以上は「本人に要因がある」というわけです。

「要因についての考え方」

前述のデータだけを見ると、「半数以上は本人に係る状況」つまり「半数以上は本人に要因がある」と解釈することが可能です。

たしかに多くの親御さんは
ご相談の際に「うちの子をなんとかして」と言われます。

原因は本人にあり、本人の問題、というニュアンスですね。

ただ、このデータの解釈には、とても違和感があります。

それは
「なぜそうなったのか」が抜けているから、です。

ここは大きなポイントです。
「なぜそうなったのか」を考えずに、データだけを見てしまうと
「要因は本人」ということで、全てを子ども本人に求めてしまうこととなります。

データ上では「無気力」や「生活リズムの乱れ」が半数以上。
そこだけで解釈すると、
「無気力」ならば「やる気を出しなさい」
「生活リズムの乱れ」ならば「ちゃんと朝は起きなさい」
という対応ばかりに、なりかねません。

これでは子どもが余計に傷ついたり、
かえって回復が遅れることになります。

なぜ無気力なのか、なぜ生活リズムが乱れているのか、
ではどう対応をすればいいのか、などを大人は考える必要があります。
全てを「子どもの問題」と考えることは、データ以前に肌感覚として
決しておすすめできません。

ともかくデータで示されている「要因」については、
それだけをとらえるのではなく「なぜそうなったのか」を考えて
解釈することが必要だと思います。

データ上で「無気力」が多く「本人に係る要因」と分類されているからといって
全てが「本人のせい」「子どもの問題」とならないよう
「なぜそうなったか」まで含めて、データを見るようにしましょう。

「データの活用法」

こうしたデータに馴染みのない方も多いと思います。

もちろん、
この国の多くの不登校生のことよりも、
心配なのは我が子のことになるでしょうから、
このようなデータ、つまり「この国の現状」や「他の家庭のこと」は
直接的な参考になることはないと思います。

ただ、このような子がこれくらいいるんだな、と
周りの現状を何となくでも知ることで
子どもを、あるいは親子関係を、
少し俯瞰して見直すことができるかもしれません。

今日とりあげた「要因」ひとつとっても
「無気力」な子が、これだけいるんだ、とか
「親子の関わり方」や「環境への不適応」も要因になるんだな、とか
さまざまな感じ方ができると思います。

「だったら、いまいちど接し方を考えてみよう」となる方もいるでしょうし
あるいは、社会の仕組みについて考えを巡らせることに繋がるかもしません。

いずれにしても、
我が子だけを見る、ではなく「少し俯瞰して考える」というのは
親子で回復するための大事な要素のひとつでもありますので、
そのきっかけに、このような「データをながめる」という行為が役立つ方もいると思います。

今回は国が令和3年10月に発表したデータから
「不登校の要因」の一部をとりあげましたが、
他にも膨大なデータが毎年公開されています。
数字が苦手ではない方はながめてみることで
「ちょっと俯瞰して考えるきっかけ」として、活用していただければと思います。

今回はデータの一部「不登校の要因」、その中のさらに一部から
思うことをお伝えしてみました。

このことを話した動画は、こちらです↑

文科省のデータはこちらです

https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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