ナチュラル、はい。第二話
グルグル、ザワザワ、なんとかなる。
と呪文のように繰り返す
電車はこんな時、進んでる気がしない。
そして忘れかけていた夢の光景の続きが。
赤ん坊の私が神さまに背中を押されて
階段落ちしようとしてますよ。
母は大家さんか誰か、大人に呼ばれて私に
少し待ってね。と声かけして階下に行ったらしい、、、
ふすま、きちんと閉めないままで。
昼間とはいえ、6畳一間の社宅の部屋は薄暗い。
このい草の香りうっすら漂うセピア色の空間が
歩行器の中ですっくと立っている赤ん坊の
世界のすべて。