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七つの子 : another heaven 4

【注意】怖い話が苦手な方はご遠慮ください


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 夢の中のボクは七歳くらいだったでしょうか。

 ボクは別の学校へ転校する事になっていて、お世話をしてくれた上級生のお姉さんがとても寂しがって泣いてくれていました。そして学校帰りの道を一緒に歩いていたんです。

 さっきまで手を繋いでくれていたお姉さんはいつの間にやら母親に入れ替わっていて、優しく微笑んでくれていました。

 その内にだんだんと繋いだ手の力が強まり、小さなボクの手は徐々に痛みを増していきました。「お母さん、痛いよっ! やめてよっ!」そう言って母親の顔を見ると、青白い顔をした男の人が薄ら笑いを浮かべてこちらを凝視していたのでした。


 はっ! と思って目を開けると、車の中にいたのでした。


おーてーてー つーないでー のーみーちーをーゆけえばー

 隣で友達が運転しながら歌っていました。

 まるでボクが見ていた夢をどこかで覗いていたようなその歌詞にゾクッとして鳥肌が立ちました。

 そして思い出しました。

 目的地まで行き、目当ての住所を尋ねた事。白い家まで行った事。そこは凄惨な殺人現場だった事。友達の様子が変わった事。友達の顔がまるで別人の顔に見えた事を…。

 隣で運転している友達は本当にボクの友達なのだろうか、そんな現実離れした考えが浮かびました。

「珍しい種類の猿みたいな顔して、どうした?」

 そう軽口を言う友達はいつもと変わらない友達なのですが、なんとなく違和感みたいなものがありました。

「で、お前、どう思うよ」

「どう思うって?」

「だから、この車だよ。さっきの家が《自宅》に設定されてたってことは、殺された家族がこの車の持ち主だったって事だろ」

「そうかもしれないな」

「中古車センターのおっさん、知ってたんじゃねーかな、本当は」

「え? それはないだろ。言うだろ、普通」

「言わないだろ普通。ちょっと事故に巻き込まれた程度らしい、って言ってただろ、上手いよな」

 友達の推測が当たっていたら嫌だなと思いはしたけれど、本当にそうなんじゃないかとも思えてきました。

「それでだ、あの家と俺が住んでるアパートが履歴で繋がっているということは、あの格安で借りてる俺の部屋の前の住人が事件に関係してる可能性もあるよな」

「…関係してるって、どう関係してるんだよ」

「んー…あの家で一緒に殺された人かもしれないし、それならあの部屋が安く借りられる理由にならないよな………………………………あ、そっか」

「そっか?」

「そっかそっか。俺の部屋に住んでた奴が犯人…か。あの家で殺して…この車で死体を運んだんだよ。もちろん俺が住んでるあの部屋にな」

「まさか」

「その後部座席の染みって、そのときについた血だろ」

 思わず後部座席を見てしまいました。

「…いやいや、それはないだろ。もしそうだったら、そんな殺人事件の犯行に使われた車がなんでまた売られてるんだよ。……いや、ないわ、ないない……」

「それがあるから面白いのだよ、きみ」

 友達がそう言った時の嫌な笑い方はまるで不気味なカラスの鳴き声のようでした。

 この日はなんだか気分が乗らずに「今日は夕飯食べずに帰るよ」とそのまま送ってもらいました。


 その日から友達の無理やりこじつけた、突拍子もない妄想が頭にこびり付いて離れませんでした。

 そしてネットで事件の事を調べれば調べるほど、友達の推測が正しいように思えて来ました。


 殺人犯の住んでいた部屋と、犯行に使われたと思しき車。どうしてそんなものをボクらが、いや友達が手に入れてしまったのか。


 あの白い家に行った日が、友達と会った最後となりました。

 友達は大学に来なくなったのです。ボクは心配にはなりましたが、彼の部屋へ行く気が起きませんでした。

 

 子供達が次々と行方不明になる事件が起こり始めたのはちょうどその頃だったと思います。



つづく

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 これはしめじのお兄さんが書いた世にも怖い物語から始まった企画に乗っかった物語です。下記が募集要項(?)です。

《カーナビに残る、前所有者の住所》の設定だけ残して、あとは全部変えてくれてもいいよ👌    (どんどんゆるくなっていく企画設定)                     あなたなりの解釈を。             あなたなりのストーリーを募集致します🐵

 

 僕が今書いてるものはそれほど怖くないかもしれませんが、

 しめじさんと穂音(ほのん)さんが書かれたお話はガッツリ怖いので、苦手な方は本当に要注意です(笑

↓ こちらは しめじさんが書いたオリジナル(ホラー? サイコサスペンス?)小説(全9話)。


↓ こちらが 穂音(ほのん)さんが書いた別の最終話。この物語を一番と言っていいほど怖がっていた方が、さらに恐ろしい最終話を書くという現象が起きました。人の心の複雑さを垣間見れた瞬間でした(笑

七つの子(9) : another world


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