バナナATM【ショートショートnote杯】
寂れつつある商店街には何か話題が必要だった。
商店組合員たちは苦肉の策、いや果肉の策に打って出た。
商店街の目立つ場所に「バナナATM」を設置したのだ。
好きな時に好きなだけバナナを引き落とせるし、好きな時に好きなだけバナナを振り込める。
そしてなんとこのバナナATM、現在だけではなく過去や未来にも送る事が出来てしまう優れもの。
しかし初めはみんな面白がってバナナを預けたり引き落としたり振り込んだりしていたけれど、飽きてしまったのか、一年も経たずに誰もバナナATMを利用しなくなってしまった。
「維持費もバカにならないしそろそろバナナATMを撤去しよう」と決まってしまったある日。
一人の少年がバナナATMにやってきた。一本のバナナを預けてどこかへそれを振り込んで嬉しそうに帰って行った。
戦時中。ジャングルで孤独と飢餓に襲われた若かりし祖父が1本のバナナに救われた時、
少年のバナナ通帳に振込完了と印字された。
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