環境価値とは
業界変化が著しいエネルギー業界において考えておきたいことについて、社外コンサルタントの方と勉強したときの備忘録。
バリューチェーンの川上にあるエネルギー業界(1次&2次エネルギー)は
価値創造の観点において、プラットフォーム(注1)の役割をしており、さらに川下である二手先の価値まで考える必要がある。二手先のアプリケーション(注2)が生み出す価値はなんなのか?世界の主戦場はアプリケーションになっており、技術開発など多数の会社が鎬を削っているのもこのアプリケーション領域。他方、今後エネルギー業界でイノベーションは起きづらいと言われている。1次エネルギーは、プラットフォームだからこそ、アプリケーション(車、スマホ、飲食店など)の変化に適応させないと、最終的な提供価値にズレが発生し、最終消費者からのお金に換えることが難しくなる。「価値を二段階に考えること」
(注1)プラットフォーム:サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」
(注2)アプリケーション:最終需要家(個人)に対して価値を創造しているもの。例えば1次エネルギー(石油)を燃料とする自動車。他にも2次エネルギー(電気)を必要とするスマホや飲食店も。※動力源としての1次エネルギー燃料は電化が進んでいる。
人類社会が、わざわざ発電効率を落としてまで1次エネルギーから、2次エネルギー(電気)を生んでいる理由は、プラットフォームに乗せる(使ってもらう)ためであり、すなわち「汎用性が高く使いやすくする」ためである。逆説的に考えると、2次エネルギー(電気)に変換出来るからこそ、1次エネルギーに価値が生まれているのである。石油ガス業界、特にE&Pの業界の人間は1次エネルギーが「主」と考えがちだが、現代では2次エネルギーが「主」で1次エネルギーは「従」になっているかもしれない。
価値とは世の中の不都合を解決するための手段に対して与えられるもの、では「環境価値」とはなにを提供する価値なのか?「GHG削減」は価値なのか、それとも手段なのか?何かを成し遂げるために、「GHG削減」をする必要があるのではないか?
社会的なトレンドであるエコシステムでは、公共財の議論を通じて、競合同士で争い利益を総なめするのではなく、最低限の利益送出や企業間競争は残りつつも、各社の個別最適化を社会の全体最適化へとつなげていくことが大切である。
「環境価値」(=公共財)は「機能的価値」や「情緒的価値」と違い、おいしい、たのしい、うれしいにすぐに紐づけることが難しいため、分かりやすく消費側に提供メリットを訴求できないが、それを適切に「価値」と認めないと、社会全体が損する結末になってしまう。
※Z世代が「環境価値」に関して、例えば環境活動団体へ所属していることを通じた情緒的価値を感じていたり、例えば新たに新居を購入する際に、CO2排出量の少ない材質に魅力を感じる価値観が生まれてきていたりする。
この「環境価値」に対して最終消費者からお金を支払ってもらうためにはどんなビジネスモデルが必要か、石油ガス会社は考えねばならない。
AOB
エネルギーフリーな世界を作る、すなわち社会の人々はエネルギーの生産活動に対してまったく関心がなくなり、再エネ由来の電気網が供給されていて当たり前、供給が需要を上回ったら捨てれば良いだけの思想。カーボンニュートラルは、エネルギー事業者にとって苦労ばかりかけられるが、実現したころにはエネルギー事業者の価値が無くなっていく。