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ゼロシン 合理性・ブランド・多様性

本日はこちらです。

僕は最近、全ての入力をデジタルに移行しました。今まではPC やスマホと共に、一応紙のノートを持っていましたが、ついに手書きの要素すらiPad proとApple Pencilに移行しました。

理由は在宅勤務の加速です。出先でメモを取る必要性も減ってしまい、メールやチャットで済むようになりました。以前は紙の資料に書き込むという機会もそれなりにありましたが、今はデジタルデータのみです。僕の会社ではプリンターが支給されておらず、且つ私物プリンターで印刷するとコンプラ違反の烙印を押されますので、紙に打ち出すこともできなくなりました。

従いまして、残念ながらシャーペンは今後使用する可能性は極めて低い状況ですし、今後ビジネスの場において使用する可能性は僕だけに限らずかなり減っていくことでしょう。

ただし、学生の頃の「シャーペンを持つ喜び」自体は強烈に残っているのもまた事実です。今回、この記事では私の体験を交えながら、何かしら仕事に役立つ内容にも寄せて行きたいと思います。一応ビジネス系のアカウントですので。

合理性を追求したシャーペン ゼロシン

僕が中学生くらいのことでしょうか?ぺんてるさんには申し訳ないですが、プラチナ社のゼロシンとの出会いは僕にとって衝撃でした。

まずその名の通り、次の芯を入れていれば前の芯を限りなくゼロになるまで使用できる機能が付いていました。合理性や効率性を探求することの素晴らしさを教えてくれたのはゼロシンと言っても過言ではありませんでした。

もう一つ、引き算の合理性もありました。それは消しゴムが極めて小さい点です。これはゼロシンだけの機能ではないかもしれませんが、僕が初めて出会った消しゴムが極めて小さいシャーペンはゼロシンでした。

あの思い切りの良さにも感動したものでした。

「誰があの端の消しゴムを使うのだろう?もしあの消しゴムを使ってしまったら替え芯が飛び散ることに対してシャペンメーカーはどう言い訳するのだろう?」という疑問。

シャーペンに対する長年のそうした疑問に、ゼロシンは答えてくれました。そう「実際のところ使わないでしょ」という答えを出してくれたのでした。

高級シャーペンというブランド

ゼロシンは他にも僕に衝撃を与えることになります。(当時中学生だった僕からすると)価格が500円と非常に高価でした。その後に1,000円というさらなる上位モデルがあることも知りました。当時、奮発してこの1,000円のペンを手に入れたことを覚えています。あのメタリックなパーツ、そして大理石調の本体部分。本当に上品な代物だったのかはさておき、高級感半端ない感じなのは間違いなかったと思っています。

別にハイブランド品に対する憧れはありませんが、今でもこのゼロシンの原体験は私の中に色こく残っています。質実剛健で合理性や機能性が徹底されていれば、むしろ価格が高いことは安心感となり、購入してしまうのは、大人になっても変わりません。

例えば、服の生地でいえば、CORDULAでできていると興奮してしまいます。その機能が本当に必要かどうかはさておき、心を惹かれてしまうのです。そういう傾向に引っ張られる源流を辿るとき、初めて自分でお金の使い方を決めるようになった中学生の頃の文房具選びは重要に思います。ここでどんなブランドに出会うか、興味を持つかはそのまま大人になってからも影響を与えるように思います。

僕は少なくともゼロシンの、あの合理性を追求した機能美のようなものに心を惹かれてしまい、それが今でも続いているわけです。

何よりも多様性がそこにはあった

ここまできて身も蓋もない話かもしれませんが、そうは言っても実はゼロシンであるかどうかは正直言って最終的にはどうでもいいことです。

最も重要なポイントは数ある(というか無数にある)シャーペンの中から、自分で一本選んだことに大きな意味があるように思います。

あの、薄暗い異様に静かな街の文房具屋さんで一人夕方ずっと考え込んだ時、或いは家族でいったデパートにあるそこそこでかい本屋さんで、父母に「早く決めろ」と急かされた時。そうあの時、間違いなく、その棚には無数のシャーペンがあったはずです。隣にはボールペンもあったはずです。一緒にどの赤ペンを買おうか悩んだはずです。今回は蛍光ペンも買える予算があるかなと、値札を確認したはずです。

あの一連の悩みこそが、買い物する喜びであり、シャーペンを持つ喜びの始まりであったように思います。

僕がApple Pencilに持つ不満があるとすれば、それは書き心地でもなく、まして応答性でもありません。多様性の無さです。多様性はソフト上で実現せよ、というのはわかるのですが、でもやっぱり面白くない。全てのユーザーがあの白く、無機質な、さらっとしたペンを持つことになる。

ぺんてるさん、あの日のあの棚のように、デジタルペンにも多様性を生み出すことはできないものなのでしょうか?と思ったりします。

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ということで、また。


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