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オーストラリアでスターバックスが成功しなかった理由

私が初めてオーストラリアに来たのは1990年代のことでした。

旅行では世界各地に行ったことがあるけれど、本格的に「住む」のは初めての経験でした。

住居を決めて、荷物を運びこみ、生活必需品を買いそろえて・・・。

ああ、疲れたな。ちょっとコーヒーでも飲みたいな、と近所のカフェに行った時のこと。

その当時、私はコーヒーくださいと言えばなんとかなると思っていました。もしくはブレンドとかアメリカンとか、恥ずかしながらそれくらいの知識しかなかったのです。

カフェの注文口で「コーヒーください」「は?どのコーヒー?」という思いがけない会話の後でメニューを渡された私はその種類の多さと、意味の分からなさに呆然となります。

short black, long black・・・これは多分ブラックコーヒーということだろう。そして、flat white、macchiato、latte、mocha、cappccino・・・ずらずらずらと15種類くらいのコーヒーの名前が書いてありました。

かろうじて認識できたカプチーノを注文し席につきました。ほっと一息ついて飲んだカプチーノがこれまた美味しくてビックリしたものです。

オーストラリアではコーヒー文化が発達している、というのはあまり日本の方はご存知ないかもしれません。

これはギリシャやイタリアからの移民が多く、彼らがこだわりのある質の高いコーヒーを広めたからだと言われています。

現にギリシャやイタリアからの移民が多いメルボルンに行くと、カフェや食というものへの強いこだわりや敬意が感じられます。チョコレートとカフェはメルが一番美味しいと個人的には思っています(#^^#)。

それから26年経ち、今ではカフェに行っても余裕です。

「デカフ(カフェイン抜きの)カプチーノ。豆乳で」

いつも私が注文するコーヒー。
周囲も当然のようにカスタマイズされたコーヒーを頼む人ばかりです。

友人は「ラクトースフリーミルクを四分の一、豆乳を四分の三でラテを」なんて注文していました。

カフェには必ず資格を持ったバリスタがいて、大きなエスプレッソマシーンで本格的なコーヒーを淹れてくれます。

私はカフェインを止められているので、日本に帰国した時に普通のお店でコーヒーを注文するのは難しかったりします。

目黒にあるStarbucks Roasteryでは「デカフ(カフェイン抜きの)カプチーノ。豆乳で」を叶えてくれるので、日本でどうしてもコーヒーが飲みたくなるとローステリーまで行ってます。

そのようなコーヒー文化が根付いているオーストラリア(とNZ)では、スタバ(アメリカ)の進出が大変だったようです。

日本の皆さんにとってはアメリカとオーストラリアはあまり違いがない印象でしょうか?

英語話してる。広い。牛が沢山いる。カウボーイもいる。なんか豪快そうな白人がいる。アメリカと似てるんじゃない?

そんなイメージですか?

そう言うとムッとするオージー、沢山いると思います。うちの夫も含めて。

オーストラリアは英国文化圏つまりヨーロッパ文化圏というのが多くのオーストラリア人の認識です。

なんといってもCommonwealth(英連邦)の一員ですから。今でも。

例えば、オーストラリアではCommonwealth Gamesはオリンピックと並ぶ人気の国際スポーツ大会です。

話が逸れました(汗)

とにかくオーストラリア人(とNZ人)はコーヒーにこだわりのある人が多いです。

そんなオーストラリアに初めてアメリカのスターバックスが進出したのは2000年代初頭。

あれよあれよという間に2008年には84店舗のスタバがオープンしたそうです。

ただ、私はその間もずっとオーストラリアに住んでいましたが、コーヒーを飲みに行く時にスタバに行ったことは一度もありませんでした。

コーヒーがあまり美味しくない割に高い、という噂があったからです。わざわざ行こうという気にはなれませんでした。

そして、2009年には84店舗中61店舗が廃業になりました。

とにかく不人気でした。

ただですね。その後スタバも努力してコーヒーの質を改善したようです。

2024年一月現在、スタバはオーストラリアで69店舗に増えました。うち26店がシドニーのあるニューサウスウェールズ州。

最近地元のスタバに行ったところ、コーヒーがかなり美味しく、しかも豆乳のデカフ・カプチーノが注文できるようになっていました。

色々戦略を練って再びオーストラリアに来たのだろうなと思います。

ただ、日本にはスタバが1901店舗あるそうで、その数の多さに圧倒されました。

人口比を考えても、スゴイですね。


ついでの話ですが、オーストラリアでアイスコーヒー(Iced coffee)を注文すると、まったく想像とは違う代物が出てきますのでご注意ください。

アイスクリームや生クリームたっぷりのアイスコーヒーが、オーストラリアで言うIced coffeeです(;^ω^) 

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