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何故オーストラリア英語は訛っているイメージが強いのか?

先日、シンガポール人の配偶者を持つ友人(日本人)とランチを食べた時のこと。

「そういえば知ってます?アンガールズ山根の奥さんがお子さんとオーストラリアに親子留学してるんですって」

私は全く知らなかったのでそう答えると友人の表情が少し暗くなった。

「そのニュースに沢山のコメントがついてるんですけど『なんでわざわざ訛っているオーストラリアに留学するんだ?』『まともな英語なんて学べるわけない』みたいなのが多いんですよ~。腹立ちません?」

なるほど。

友人は続ける。

「そのくせ、シンガポールに親子留学する人が増えてるんですよ!シンガポール英語の方が信じられないくらい訛ってるし、英語ネイティブだって『は?』って聞き取れないことしょっちゅうあるのに!少なくともオージー英語で通じないってことないじゃないですか?!」

それはその通り。シンガポール英語は英語圏で『あれはEnglishじゃない、Singlishだ』と言われている。私もシンガポール人と話をする時は聞き逃さないように気合を入れる必要がある。語尾に『ラ』がついたら要注意だ。

日本語にも方言が沢山ある。同様に英語にも多くのバリエーションがある。

国によるバリエーションは勿論あるが、どちらかというと地域差、個人差の方が大きいように思う。

オーストラリアって『エイ』の発音が『アイ』になるんでしょ?トゥデイがトゥダイになったり?


そんな風に思っている人がいるかもしれない。

でも私の周囲でそんな話し方をする人は一人もいない。

『Good day, mate!』というフレーズが有名だが『グッダイ、マイト!』なんて言う人はいない。

私の周囲のオーストラリア人は全員todayをトゥデイというし、ケイコさんのことをカイコ呼びする人なんていない。

都市部で生活する限り所謂オージー訛を聞くことはほとんどないと思う。

ただ、通訳の仕事で内陸部(アウトバック)に行った時に、馬に乗ったカウボーイが典型的なオージー英語を話していて、とても衝撃だったのを覚えている。やっぱり耳をダンボにして集中しないと理解できなかった。

でも、それは仕方のないこと。日本国内でもあるんじゃないかな?地方とか遠隔地に行くと方言が強くなったりする。

だからと言って「日本語を学ぶために留学するなら方言のない地域の方がいいよ」なんて失礼なこと誰も言わないでしょう?

英語に訛があるからオーストラリアに留学しない方がいい、っていうのは同じことだと思う。

日本に留学する場合、どこに行っても語学学校ではちゃんと標準の日本語を教える訳だから地域なんて関係ない。オーストラリアだって同じ。語学留学で英語の学校に通うなら標準の英語を教えるはず。

それにオーストラリア英語はどちらかと言うとイギリス英語に近い。勿論同じではないけれど、アメリカ英語の方が嫌がられる傾向にある。

友人曰く、コメントの中には「せっかくの留学の機会なんだから、イギリスに留学してクイーンズ・イングリッシュを学べばいいのに」というものもあったそう。

しかし、英語の本場、イギリスでも全員がクイーンズ・イングリッシュを話す訳ではない。

実際、こんな記事もある。

”The Queen’s English?”
Actually, no-one speaks the Queen's English – except for a very small minority of just 3%. The rest of us speak a huge variety of regional accents.
(https://northwestbylines.co.uk/lifestyle/the-queens-english/#:~:text=Actually%2C%20no%2Done%20speaks%20the,huge%20variety%20of%20regional%20accents)

「クイーンズ・イングリッシュを話すのは僅か3%程度。残りは色んな地域の訛」と記事には書いてある。

私の夫はイギリス系オーストラリア人。彼の父親はロンドン出身で'one born within sound of Bow Bells'、つまり生粋のコックニーである。

コックニーとはロンドン訛と訳されるが、私はコックニーに初めて触れた時、その暗号のような英語に大きな衝撃を受けた。いや、本当にビックリした。もう二十年以上昔の話だけど、その衝撃は今でもよく覚えている。

次の記事でコックニーについて書きたいと思う。

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