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うちに猫がやってきた

現在、我が家には一匹の猫がいます。
食いしん坊で暴れん坊。そして、とても甘えん坊なミケ(仮名)

彼女が我が家に現れたのは2022年4月のことでした。もうすぐ二年経つのかと思うとビックリです。

本当に唐突にうちの家の軒先に現れました。

近所には猫が多く、オーストラリアでは基本的に放し飼いなので、きっとどこかの飼い猫だろうと軽く考えていました。

説明が難しいのですが我が家の軒先は割と広いバルコニーになっていて、そこにソファやテーブルなどが置かれています。

彼女はそこのソファがお気に入りのようで、写真のように気がつくといつもそこに居ました。

気がつくと・・・本当にバルコニーを見る度にそこにいる。

え?自分の家に帰ってる?迷子?エサは?大丈夫なの?
心配になるくらいそこに居ました。

家族に尋ねてもやはりいつでもそこにいると。
心配した私たちは地域コミュニティのFacebookに写真をアップしたり、張り紙をして飼い主に知らせようとしました。

オーストラリアの飼い猫にはマイクロチップが入っているので、獣医に連れていけば飼い主がわかります。でも獣医に電話しても予約が一杯で緊急ではないので入れてもらえませんでした。

そうして一週間ほど経過し、私は衝撃的な場面を目撃してしまうのです。

なんと彼女がゴ〇ブリを食べていたのです。

えええええ!?

どう見ても飼い猫の彼女が虫を食べている?
家に帰ってないの?
飼い主は何をやっているの?
・・・・・・お腹すいてるんだろうな。

知らない猫(よそのうちの子)にエサをあげるのはご法度だと分かってはいたのですが、虫を食べている姿を見て放置はできませんでした。

仕方なくエサと水をあげはじめると、彼女はますます私たちに懐き、私たちがバルコニーにいると膝にのってきて甘えまくります。

可愛いです。うん、絶対可愛い。でもよその子だから。

獣医に電話しても「とりあえず時間が空いたら連絡する」と言われ、待機状態が続きました。

そんな時、知らない女性が我が家のドアを叩きました。

「・・・あの猫、お宅の猫?」

そう尋ねた女性は三ブロックほど離れた場所に住んでいるそうで、多分この猫の家を知っているとのこと。

そのご近所さんが飼い主に知らせてくれるということで私たちはホッとしました。もうすぐお別れだね、なんて言いながら頭を撫でていたっけ。

しかし、その後一週間。何も音沙汰なし。

飼い主に知らせがいったはずなのにどうしたんだろう?

そして週末、私と夫が買い物に行き自宅に戻ると相変わらず猫はそこにいます。

「飼い主はどうしてるんだろうね?」と夫と話しながら家に入ると、息子と娘が口々に「パパとママの留守中に知らない男の人が勝手に入って来て黙って猫を連れて行ったよ。きっと飼い主じゃないかな?」と言うのです。

私たちは混乱しました。だって、猫は相変わらずバルコニーにいるんです。

「え?戻ってきたってこと?」

子供たちも混乱していました。

その数時間後、再びバルコニーに知らない男性が入ってきました。

今度は私と夫が出ていって事情を聴くと・・・。

うちから百メートルくらい離れたところに住んでいる。
元々猫が二匹いたんだけど、最近子犬を飼い始めて、その犬とうまくいかなくてこの猫は家出した。
さっき家に連れ帰ったけど、すぐに逃げ出して戻ってきてしまった。

なるほど・・・。

「今度は逃がさないように家の中に入れてドアを閉めてくださいね」

夫が冷静にお願いすると「もちろん!今度は絶対に逃がさないので安心して下さい」と自信満々でその男性は去っていきました。

私たち家族はちょっとセンチメンタルな気持ちになりつつ、ちゃんと元の家に帰れて良かったね、と外食に出かけました。

数時間留守にして、家に帰ると・・・ええ、やはり彼女はまたバルコニーに座ってにゃーにゃー鳴いているのです。

「絶対に逃がさないって言ってたのに・・・」

その男性は連絡先を置いていきませんでした。というか、そんな必要ないと思っていたので。

近所といってもこれだけ住宅が密集した地域で飼い主の家を特定するのは非常に困難。

そうして三週間が経過。飼い主は戻ってきませんでした。

もう一度獣医に電話して事情を説明すると、じゃあ今すぐ連れてきてと言われ、ようやく獣医のところに。

獣医でマイクロチップを読み込んでもらい、獣医から飼い主に連絡してもらって迎えにきてもらうという手順です。

しかし、翌日獣医から電話がありまして・・・。

マイクロチップに記録されている飼い主に連絡したところ、女性が電話にでた。

「その猫は元カレのところに置いてきた猫だからもういらない。今の飼い主は元カレだから私は知らない」
「・・・では元カレの連絡先は?」
「そんなの知らないわよ!」

ガチャンと電話を切られたそうで・・・。獣医さんも激しく怒っておられました。

とりあえず今まで通り猫の世話をしてもらえないか?
できたら引き取れないか?

獣医さんからそう頼まれても、引き取るのを躊躇する理由がありました。

我が家には既に齢21歳の老猫がいたのです。
老猫は穏やかなおじいちゃんで、本当に性格の良い子でした。

でも、ミケ(仮名)は明らかにおじいちゃん猫を嫌い、敵意をむき出しにしてシャーシャー威嚇していました。

ミケ(仮名)は家の中には入れなかったので、主に家の中で過ごすおじいちゃん猫との接触は最低限でした。

ですが、引き取るとなると家の中にも入れますし、喧嘩になったら老後をゆっくり過ごせなくなるのではないかと心配だったのです。

しかし、寒空の下、ミケ(仮名)を追い出すわけにもいきません。

知り合いに引き取り手を探しましたが、誰も見つからず。

私たちは二匹の猫の共存作戦を立てました。
仲良くなってほしいなんて贅沢は言わない、ただ、お互いを無視し合っていいから平和に過ごして欲しい。喧嘩だけは避けたい、という作戦です。

最初はガラス越しに合わせるとか。同じ空間にいるときにはご馳走を与えるとか。接触を最低限にするために、家の中でのテリトリーを決めるとか。

まあ、色々試行錯誤をして、ようやく二匹の猫が喧嘩せずに共存できるようになりました。半年くらいかかりましたけど・・・。二匹が並んで寝ているのを見てちょっと泣きそうになりましたっけ。

獣医に連絡して、色々面倒臭い手続きをして、マイクロチップの連絡先も我が家に変更してもらって、ミケ(仮名)は正式に我が家の一員になりました。

そして、ミケ(仮名)が現れて約一年後、おじいちゃん猫は息を引き取りました。

「22歳というのは長生きだし、これだけ愛されて幸せな人生だったよ」

獣医に言われて、家族全員大号泣。今でもおじいちゃん猫のことを懐かしく思い出します。穏やかで本当に良い子でした。

今ではミケ(仮名)が唯一の猫として我が家に君臨しています。

何故我が家にあんなに執着したのか色々不思議なのですが、ミケ(仮名)は今日も幸せそうに昼寝しています。

あ、だから、たまに「ミケ(仮名)って何歳なの?どんな種類の猫?」と質問されても私たちは答えられません。マイクロチップには飼い主の情報しか入っていないので、彼女の詳細は謎のままです。

長くなってしまいましたが、こんな経緯で我が家に猫がやってきたのでした(#^^#)



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